バラエティ番組で活躍するなか、突如、2018年に結婚した菊地亜美さん。タレントとしての見え方の変化に悩んでいたとか。救いはSNSのなかにありました。ありのままをさらけ出し、妊娠での本音を明かすと、新たな交流が生まれたと言います。
結婚後、「キャラ違わない?」の声がつらかった
── 結婚されたことで、仕事のスタンスや環境が急激に変わったと思います。新婚当時の様子はいかがでしたか?
菊地さん:
私たち夫婦は、東京と大阪の遠距離恋愛だったので、結婚後もしばらくは2拠点生活でした。
会社と話し合って、私は今までの仕事を半分にセーブし、大阪での仕事もさせてもらうことに。大阪と東京を行き来して仕事をする生活が1年間続きました。
事務所も大変だったと思いますが、私も夫もこの行き来が大変で。今後のことを考えたときに、子どもが生まれたらこんな生活は絶対ムリだし、体力的にも続けられないのではと思っていました。
また、独身時代は「モテない、結婚できない」キャラだったんですけれど、交際が週刊誌に載って彼氏がいると報道されてから、テレビに出るときに、それまでとキャラがブレてしまったんです。
“彼氏大好きキャラ”に急に変わったという見え方になり、どうしようかと悩みました。
「キャラクター的に面白かったのに、結婚したら変わっちゃうね」「恋愛してないのが面白かったのに」と言われることもあって…。
でも、戸惑いはあったけれど、今までとは違う自分に徐々に変わっていったんです。
結婚生活がベールに包まれている方もいると思うんですが、私は自分の性格的にNGなくしゃべるのがやりやすいなと思ったので、私生活もざっくばらんに話していきました。
数年経って、今では私に対する見え方も徐々に変わってきたかなって思いますね。
SNSを通じてできた新しいつながり
── 求められている菊地亜美像と現実のギャップに悩みつつも、等身大の自分をさらけだし続けたことで見え方が変わってきたのですね。
菊地さん:
そうですね。その変化には、YouTubeやインスタグラムの影響がすごくあったと思います。
テレビに出ることが私にとって一番の目標だったし、テレビに出るのが一番好きだと思っていて、今でも好きなんですけれど…。
テレビだとその時その時の発言だけが切り取られて見られるし、影響力も大きい。
だから、ある番組だけ見て「ファンになりました」と言ってくれる方もいれば、また違う番組を見て「嫌いになりました」と言われたこともありました。
でも、SNSでプライベートの自分を発信していたら、ありのままの私を好意的に見てくれる人もいて。「ファンになりました」と言ってくださる方が増えたんです。
これは想像していなかったことでした。新しいファンの方からそうしたメッセージをいただくたびに、SNSをやってよかったと思っています。
── そうしたSNSでのファンの皆さんの声が菊地さんの心の支えになっているんですね。
菊地さん:
そうですね。テレビのお仕事だけだったら、今の状況だと頑張りすぎていたかもしれません。
独身時代は頑張るのが普通だから、テレビに出ていることに対して、何を言われても“鉄の心”を貫いていたんです。
でも今は「いろいろな私を見て判断してほしい」と思います。私のYouTubeやインスタグラムを見てくれているのは、私と同じママさんが多くて。子育てをしている方にも見ていただけているのは、すごく嬉しいですね。
それに娘がまだ1歳7か月なんですが、コロナ禍で外にあまり出られないこともあり、ママ友って、あまりいないんですよ。
だから子育てで知りたいことも、SNSの交流でいろいろ聞くことができているので、すごく助けられています。
── 子育てのアドバイスは、SNSでのやりとりで得られているんですか?
菊地さん:
いろいろと教えていただくことは多いですね。初めての妊娠で不安で何もわからない状態のとき、ネットの検索魔になっていたんです。でも何が事実か分からなくて。
「困っています」とSNSで発信したところ、皆さんからいくつもメッセージが届きました。実際にお会いできないですけど、先輩のママ友のような感覚を抱いています。
想像とはまったく違う妊婦生活
── YouTubeは2019年10月に開設されているので、結婚から妊娠、出産、育児まで、菊地さんのリアルを映し出しているものになっていますよね。
菊地さん:
コロナ禍の妊娠はやっぱり大変でした。妊婦さんがコロナにかかってしまう前例を私は知らなかったので、怖くて外にも出られなかったんです。
想像とはまったく違う妊婦生活と出産になりました。
初めての緊急事態宣言が出た2020年4月は安定期だったんですが、妊婦だったこともあり、オンラインでのお仕事以外、仕事がほとんどゼロ。
夫もリモートワークになったので、1か月まるまる一緒にいたんです。
子どもが生まれたら夫婦の時間は取れないから、コロナ禍で、仕事もお腹の子も大丈夫かなという気持ちはあるけれど、家にいるしかないんだから楽しもうと思って。
毎日一緒に料理をしたり、テレビや映画を見たり、30話ぐらいある海外のドラマを観て過ごしたりしていました。
── コロナ禍の生活は、家族の暮らしを大切にできた貴重な時間だったんですね。
菊地さん:
そうですね。そのときは、夫が妊娠してるのかってぐらい(笑)、いろいろと調べてくれて。それが嬉しかったし、ありがたかったし、心強かったです。
今やっている化粧水と美容液のプロデュースを始めたのも、その頃から。妊娠中は肌がホルモンバランスの関係でお肌の調子が乱れるので、それをきっかけに何か発信したいと考えて始めたものなんです。
なので、仕事のやり方も変えていけたし、母になる準備もゆっくりできたと思います。
── 妊娠中にやってよかったことはありますか?
菊地さん:
夫がゴルフをするんですけど、私もゴルフを始めよう、と言っていた矢先に妊娠してしまい、始めることができなくて。
妊娠後期は歩いたほうがいいと言われていたので、夫と2人で一緒にゴルフ場に行って、夫はゴルフをしているかたわらで、私はコースを回る散歩を楽しみました。
ゴルフ場ならのびのび歩けるので、夫がパターを打つときだけ私がやる、みたいな(笑)。そんな、デート兼お散歩が、楽しかったですね。
PROFILE 菊地亜美さん
1990年北海道生まれ。「アイドリング!!!」を14年に卒業後、バラエティ番組を中心にテレビに多数出演。18年に結婚、20年に第1子を出産。YouTubeやインスタグラムなどのSNS活動や、基礎化粧品のプロデュース業などマルチに活躍。
取材・文/小松加奈 画像提供/レプロエンタテインメント