アイドリング!!!でチームプレーの大事さを学んだという菊地亜美さん

「苦手なことを頑張ってスベるよりも、自分が得意なことを伸ばしたほうがいい」。アイドルグループ「アイドリング!!!」時代に、バカリズムさんにそうアドバイスをもらった菊地亜美さん。アイドルって何?仕事って何?そんないまに至る原点について話を聞きました。

アイドルになるなんて想像していなかった

── 地元・北海道で暮らしていた菊地さんですが、どういう経緯で芸能界入りしたのですか?

 

菊地さん:

もともと物心がついたときから芸能界に憧れていて、テレビに出たいと思っていたんです。

 

「高校在学中に芸能事務所に絶対入って、東京に行きたい」と思い、中学生の頃からオーディションを受けていました。

 

両親も私の気持ちをくんでくれて、高校1年生のときに今の事務所に入ることができ、翌年上京してきたんです。

 

当時は、自分がアイドルグループに入るなんて想像もしてなかったし、アイドルになりたいとも思ってなかったんです(笑)。

 

でも、私が入ることになる「アイドリング!!!」は、バラエティのレギュラー番組があることを聞いて。テレビ番組に出たくて、そのオーディションを受けました。

 

結果的に「アイドリング!!!」には6年半在籍したんですけど、まさかこんなに長く続けるとは(笑)。

 

でもおかげで、たくさんの番組にも出ることができて、「テレビに出る」夢も叶えられました。

「アイドリング!!!」のメンバーは仲間でありライバル

── 「アイドリング!!!」の活動をしていて良かったことはどんなところですか?

 

菊地さん:

芸能界は、自分一人でしっかりしなければならないそう思えばそうなんですけど、でも「アイドリング!!!」に入って、チームプレーが大事だなって思ったんです。

 

みんな仲間でありライバルでもある。そのなかで、手を取り合うところは取り合って、一人ひとりが輝かないといけないときは、個人個人で頑張る。そうしたメリハリがつけられたと思います。

 

当時は、『アイドリング!!!』20062015年・フジテレビ)という番組の外に出たら、もうメンバーの個人名なんて、誰も分からない状況でした。

 

だから、個人でテレビに出るときは、グループの代表として頑張ろうという気持ちでしたね。

 

菊地亜美さん
「バカリズムさんは優しくも、厳しかった」と振り返る菊地亜美さん

成長できたのはバカリズムさんからのアドバイスのおかげ

── バラエティ番組『アイドリング!!!』でご一緒されていたバカリズムさんにも、鍛えられたのでは?

 

菊地さん:

本当にそうですね。バカリズムさんはすごく優しいし、いい人。なんですけど、ずっと一緒だったからこそ、厳しかったですね。

 

共演者の一人というよりも同志というか、バカリズムさんにとっては親戚の妹みたいな感じだったんじゃないかな。

 

相談をしても、親身になって聞いてくれたし、アドバイスもしてもらいました。おかげでバラエティ番組に一人で出るときも、安心できました。

 

── バカリズムさんからは、どんなアドバイスをもらったんですか?

 

菊地さん:

その番組では、ドッキリだったり、虫を触ったりとけっこうハードなことをやっていたんです。番組内でバトルになって泣き出すメンバーもいて。私も泣いたことがありました。

 

そのときに、「若いアイドルが泣いたら、誰も何も言えなくなっちゃう。その場が終わりになっちゃうから、バラエティで泣くのはダメだよ」って言われたんです。

 

「泣いて面白くなるときもあるし、こっちも面白くしようとする。けれど、若いアイドルだと『ごめんね』の気持ちになって、番組の流れも止まってしまう。だったら最初からしないほうがいい」とアドバイスをもらいました。

 

だから今でも、バラエティ番組で泣くのは感動したときだけですね。

 

それと、一人で活動するようになったとき、多くのテレビ番組に出たくて、あまり詳しくないことでも、知っていたら「しゃべれます」と言っていたんです。それも「止めたほうがいい」と。

 

「頑張りすぎてしまうと、自分の好きなことがわからなくなったり、嫌いになったり、自分が本来話せることがかすんでしまうよ。

 

苦手なことを頑張ってスベるよりも、自分が得意なことを伸ばしたり、自分のやりたいことに取り組んだほうがいいよ」と言ってもらいましたね。

グループの肩書きが外れるから頑張らないと

── たくさんのことを学んだアイドルグループを2014年に卒業されて、ソロ活動を始めることになりましたが、そのときのお気持ちは?

 

菊地さん:

不安はありましたけど、いずれは一人で活動したいと思っていたので、卒業後は「ここからは自分で頑張ろう」という気持ちでした。

 

今までは「アイドルだから」と大目に見てもらえていたことが、グループの肩書きが外れたらそうはいかなくなるから、もっと頑張らなければ、と。

 

── 菊地さんの転機というと、やはりグループの卒業ですか?

 

菊地さん:

そうですねでも人生の転機は、グループの卒業をはるかに超えた、結婚と出産でした(笑)。

 

PROFILE 菊地亜美さん

1990年北海道生まれ。「アイドリング!!!」を14年に卒業後、バラエティ番組を中心にテレビに多数出演。18年に結婚、20年に第1子を出産。YouTubeやインスタグラムなどのSNS活動や、基礎化粧品のプロデュース業などマルチに活躍。

取材・文/小松加奈 画像提供/レプロエンタテインメント