子どもから大人まで大人気のおかず「唐揚げ」。でもなぜ唐揚げといえばとり肉ばかりなのか、その理由を皆さんはご存じですか? 今回は2021年12月に『チコちゃんに叱られる!』(NHK)で放送された、唐揚げの秘密をご紹介します。

コラーゲンと水分量がカギ! 唐揚げにとり肉が最適な理由

唐揚げといえば、外はカリッと中はジューシーで柔らかな食感が魅力のひとつですよね。その食感を作り出すカギとなるのが、コラーゲンと水分量。番組内では、他のお肉と比べてとり肉が唐揚げに適している理由を専門家が解説していました。

 

1つ目のカギはコラーゲン。コラーゲンは皮膚や骨を作るたんぱく質のひとつで、とり肉はコラーゲンの含有量が少ないという特徴があります。とりもも肉の場合、豚肉の約半分、牛肉の約4分の1しか含まれていません。コラーゲンは65℃以上で加熱すると縮む性質があり、コラーゲンを多く含むお肉はその分、固くなってしまいます。その点とり肉は加熱しても柔らかく、揚げ物に適したお肉とのことでした。

 

2つ目のカギは水分量。とり肉は豚肉や牛肉と比較すると、最も多く水分を含んでいました。とり肉を揚げると表面の水分だけが蒸発して衣になり、中の水分は閉じ込められます。揚げても水分が逃げないので、ジューシーな仕上がりになるそうですよ。

冷めても美味しいのはなぜ? 脂が溶ける温度に秘密があった

とり肉が唐揚げに最適なもうひとつの理由は脂が溶ける温度。お肉によって脂が溶ける温度は異なり、とり肉だけが日本人の平熱より低い温度で脂が溶けます。そのためお弁当に入れた冷めた唐揚げでも、口の中で脂が溶けて美味しいと感じるそう。

 

2020年1月の放送では、脂を美味しいと感じる脳のメカニズムも紹介しています。脂は口に入ることで、唾液によって脂肪酸に分解。この脂肪酸によって舌から脳に味を伝える能力が格段にアップし、より美味しいと感じるのだと明かされていました。

 

コラーゲン、水分量、脂が溶ける温度。この3つの要素が奇跡的に揃っているのが、とり肉が揚げると美味しくなる秘密。とり肉の唐揚げが柔らかくジューシーで、冷めても美味しいのはこの3要素のおかげですね。

火も油も使わない! サクッとジューシーな唐揚げレシピ

唐揚げの秘密を知ったところで、美味しい唐揚げの作り方も気になるところ。2020年8月4日放送『すイエんサー』(NHK)では、火も油も使わずに作れる唐揚げレシピが紹介されていました。

 

まずはとりむね肉100gをピンポン玉ぐらいの大きさに切り、フォークで穴をあけ砂糖5gと塩3gを混ぜた水100mlに2時間漬けます。2時間たったらキッチンペーパーで余分な水気を取り、しょうゆ小さじ1、料理酒小さじ1、しょうが4gを混ぜた調味料にさらに5分間漬けましょう。肉を取り出しマヨネーズ10gと片栗粉20gをからませ、アルミはくを敷いたオーブントースターで230℃で20分加熱。5分おきにひっくり返し、中まで火が通れば完成です。

 

塩・砂糖水に漬け込むことで、お肉が水分を吸収しパサパサしにくくなるそうですよ。またオーブントースターは徐々に温度が上がるので、片栗粉を使ったほうがサクッとした仕上がりに。油を使わず簡単ヘルシーな唐揚げレシピ、ぜひおためしください。

 

今までなにげなく食べていたとりの唐揚げには、揚げると美味しくなる理由が隠されていました。唐揚げの秘密を家族に教えてあげながら、今晩の夕食は唐揚げなんていかがでしょうか。

文/牧野聡子
参照/『すイエんサー』公式サイト「火も油も使わない!【からあげ】」https://www.nhk.or.jp/suiensaa-blog/koremade/433240.html