色白でサングラスをかけ、金髪に見える男の子のかわいらしい様子が、アップされているSNSがあります。
親がそういうファッションをさせているのではなく、実は生まれながら「アルビノ」という遺伝子疾患の症状をもつ少年です。
そんな4歳のリツキくんの日常と、それを積極的に発信するママさんに話を聞いてみました。
他の子どもと変わらず元気
「リツキは、弱視であることと日焼けに気をつけること以外は、他の子どもと変わらずに元気に過ごしていますよ」
そう明るく話すのは、福岡県に住むユウさん(38)。夫と、2002年に生まれた長女をはじめ女の子を4人、男の子を3人産んだ大家族のママです。
リツキくんは‘17年に生まれた三男坊ですが、「全身が白い子が産まれてきて、本当にびっくりしました」とユウさんは振り返ります。
発表会は隣の子の影を真似して…
リツキくんは、日本には5000人ほどいるとされ、難病にも指定されているアルビノ(眼皮膚白皮症)という疾患をもちながら、生まれてきたのです。
体中のメラニン色素が欠損している遺伝病で、皮膚や毛髪、眼の色が薄く、リツキくんの髪の毛は画像によっては金色に見えますが、実際は白髪です。
そんなリツキくんが楽しく遊び回ったり、家族で外出したりする様子がInstagramやTikTokの「りっくんの姉です」というアカウントで公開されています。
「リツキの現在の視力は両眼で0.1ほど。まぶしさを感じやすいので、家の蛍光灯は白色ではなくオレンジにしています。
帽子をかぶり、遮光めがねをかけて幼稚園に通っていますが、視覚障がいがあるので、少し離れると人の顔が判別できません。
ですから、同じ体操服や制服を着ている幼稚園では、なか
発表会の屋外での踊りも、弱視とまぶしさで周囲の動きの真似ができないので、隣の子の影を頼りに懸命に踊っています」
ママが疲れると子どもが疲れるから
メラニン色素がないため、紫外線を浴びると水膨れや火傷のような症状になるリスクもあるリツキくん。
「ですから毎日、登園前には日焼け止めクリームは塗っています。
アルビノの人たちは夏でも、長そでや長ずぼんなど服装で調整することが多いですが、リツキは暑がりますし周囲の環境と同じにしてあげたいので、日焼け止めを塗って対応しています。
それ以外は他の子どもと変わらず、元気よく遊んでいます。
リツキのことを気にしすぎて疲れてしまうと、結局子どもたちも疲れてしまうので、神経質にならないようにしています。
私がもともと、雑な性格というのもあるかもしれませんが」
今ではそう笑うユウさんですが、リツキくんの出産直後はショックからなかなか立ち直ることができませんでした。
自分や世間を責めた日々も
「“ごめんね”“ごめんね”と言い続け、自分を責め続けました。
アルビノについて、ネットにはさまざまな情報が載っていて、将来のビジョンが持てず悲観してしまいました。
紫外線に弱いということで、親子で暗い部屋にずっと引きこもっているような状況でしたね。
紹介された大学病院に行くと、珍しい症例ということでゾロゾロお医者さんたちが集まってきました。裸にされて写真をたくさん撮られて、いたたまれない気持ちにもなりました…」
“見たらダメよ”“髪を染めさせているの?”。世間の無理解な言葉に傷つき、ユウさんは威嚇的になったこともあったそうです。
アルビノは病気ではなく個性だと思えた
しかし、ネット上で同じアルビノの当事者に出会ったことで気持ちに変化が起きたそうです。
「アルビノのリアルな話や情報を交換することができて、福岡に住むアルビノの方を紹介してもらったりもしました。
その交流の中で、アルビノはそこまで悲観する病気ではない。
逆に“個性”だと思うようなり、他のきょうだいたちと同じように育てたいと思うようになりました。
そこで、アルビノへの理解を広げたり質問を受けたりすることを目的に、長女にInstagramやTikTokでリツキの日常を発信することにしたのです」
Kポップグループのように
ママとして、とにかく前向きでポジティブな環境作りを心がけているユウさん。
「子どもたちの友達に“何で白いと?”と聞かれて、病気であると答えれば、自分も相手も暗くなってしまいます。
逆に“白くてかわいいやろ?”“すごいやろ”と返せば、“天使みたい”“白クマみたい”と反応してくれるものです。
おかでげで最近は、人気アニメのキャラクターやKポップグループのメンバーに似ていると言ってもらえます」
恵まれた時代や環境になっている
そういった方針から、リツキくんを小学校以降も普通クラスに通わせるつもりだそうです。
「リツキにとって、恵まれた時代や環境になっていると思います。
学校での大きな心配は黒板の字が見えないことだと思いますが、最近はタブレット化が進んでいるので、それで確認したりすることもできます。
上のきょうだいも同じ学校に通いますし、私もPTAの役員を務めていて、学校や役所とのコミュ二ケーションはとっているので、リツキはやっていけると思います」
もうひとりアルビノの子を
ユウさんや家族が無理をしていないことは、こんなエピソードからもうかがえます。
「我が家にはもうひとり、かわいいアルビノの子が欲しいと思っています。すでにリツキの下には妹がいるのですが、実は8人目の子どもも考えています。
生活は苦しくなるかもしれませんが、にぎやかで絶対に楽しいですよ(笑)」
もともと、大家族番組が好きで、子沢山への憧れがあったユウさん。
こんなママや家族のもとに生まれて、リツキくんも幸せにすくすくと成長しそうです。
取材・文/CHANTO WEB 写真/ユウさん