人は結婚相手に何を求めているのでしょうか。ある結婚会社の調査によれば、男性が女性に求めるベスト3は、優しさ、明るさ、顔が好み。女性が男性に求めるベスト3は、経済力、優しさ、金銭感覚(が合う)。
よく離婚の理由で、「性格が合わない」「価値観が違う」が挙げられますが、それは「話し合い」で解決できる問題。もっと大事なことがあると話してくれる人がいます。
映画で笑いのツボが同じ。これって運命の出会いかも
「30代半ばまで必死に婚活したんですが、全然、縁がなくて…。でも37歳のとき出会った彼とは、とにかく笑いのツボが合ったんです」
そう話すのはミキさん(40歳・仮名=以下同)です。仕事関係で知り合った2歳年下の彼と、たまたま「もらった映画鑑賞券」があったので観に行ったそう。
「つきあっていたわけじゃないんです。そのチケットがもうじき使えなくなるから、その日に会った彼に、もし時間があったら最終上映に行かないかと誘っただけ」
映画の評判がよかったので観たかったと彼は言ってくれました。そして映画を観ながら、ふたりは周りが反応していないシーンで、同時にクスッと笑ったことにお互い気づきました。
「映画を見終わったあと、食事をしながら『あのシーン、なんとなくおかしかったよね』と確認しあって。どうして周りは笑っていなかったのかわからないよねと。
そのとき、あれ、私たち、感覚が合うなと思いました。もちろん彼に恋人がいるかもしれないので、そのときは映画の話で盛り上がっただけでしたけど」
帰り際、彼が「また会ってもらえますか」と聞いてきました。
「『つきあっている人はいないんですか?』と聞いたら、『いない』と。私もいないから、『じゃあ、また会いましょう』と、フランクな形で会う約束をしました」
次に彼が「行きたい」と言ったのは寄席でした。ミキさんは東京・下町の生まれで、祖父母が大の落語好き。週末にはよく寄席に連れてってもらったものでした。
「その話を彼にしたら、『いいなあ、僕は大人になってから行き始めたんです。子どものときから見ておきたかった』って。ああ、彼も落語好きなのか、だから映画のあのシーンで笑ったのね、とわかりました」
実際に落語に行くと、聞いて笑うポイントも似ていました。
価値観や金銭感覚は話し合えば解決できること
それからデートを重ねたふたりは、お互いの気持ちの奥にあるものを引きずり出すように語り合いました。
「『人生において“笑う”ってとても大事なだと思う』と、彼がぽつりと言ったことがあるんです。私もそう思っていたと激しく同意しました。
そこから一気に距離が縮まって、ふたりで会うようになってから半年足らずで婚姻届を出しました」
すぐに子どもができ、あんなに必死になっていた婚活は何だったのかと思うほど人生が激変したとミキさんは言います。
「共働きで忙しいし、私がイラッとすることもあります。でもそんなとき、彼は自分が子どもをあやしているから、DVDで落語でも聞けばと言ってくれる。子どもが寝たら一緒にコメディ映画を観て笑うことも」
彼と一緒だと深刻にならなくてすむ、とミキさんは笑顔を見せます。
「人生って、ただでさえ大変。子どもがいる幸せもあるけど、子どもがいる大変さもある。それでも、『何事も大変と思うのはやめよう』と話し合っています。
大変なときほどユーモアを忘れず、笑顔を絶やさず。そのほうが幸せになれるよって」
価値観や金銭感覚などは合わなくてもいい。それはお互いに認めるか認められないかを話し合えばすむこと。妥協することもすり合わせることもできるはず。
それよりも、一緒に笑い合えるかどうかのほうが重要なのだそう。
「泣くポイントは違っていてもいい。でも笑うポイントは同じほうがいい。3年ほど彼と一緒に生きてきて、本当にそう思っています」
どうしてここで笑うのかわからない。そう思う人とパートナーでいるのはつらいとミキさんはにこやかに言いました。