安田美沙子さん
育児中だからこそ自分が楽しいことをしたいと話す安田さん

二児の子育て中である現在も趣味の「走ること」を続けている安田美沙子さん。忙しい日々を感じさせない笑顔は、RUNによって体を動かしているから?

 

育児と仕事をしながら、「自分のやりたいこと」を諦めない秘訣を聞きました。

RUNの魅力「運動」は運を動かす

── 来年1月には、安田さんが続けてきたRUNを含め、ご自身のライフスタイルを写真中心にまとめたフォトエッセイも発売されます。RUNの魅力って何でしょう?

 

安田さん:

走ることって想像以上に深いんです。体だけじゃなく、メンタルにも関係してくるというか。

 

運動って、「運を動かす」と書くじゃないですか。

 

その言葉通り、走ると、気持ちもポジティブになって、生活や仕事までいい方向へ動き出す気がするよねって、RUN仲間とよく話しています。

 

── 出産前後はさすがにRUNはおやすみされたんですよね。

 

安田さん:

はい、出産のときはおやすみしていました。

 

だけど、RUNって生涯スポーツ。ライフイベントで忙しい時期は遠ざかったとしても、またいつか始めればいい。自分さえその気になれば、一生楽しめるんだって、いっとき離れてみてよりRUNの魅力を感じるようになりました。

 

次男が1歳になったのを機にRUNを再開しました。そうしたらやっぱり瞬く間に楽しさが甦ってきて。現在は、RUN仲間と「RUN兼カフェ巡り」みたいに、ゆったり走っています。

 

── ランニングウェアでカフェに入ってくる方々、最近よく見かけますよね。体を動かしているからなのか、皆さん颯爽として素敵です。

 

安田さん:

表情が生き生きとしているから、そう見えるのかもしれません。ね、「運動は運を動かす」んです!

 

── RUNの時間や距離、コースはどういった感じですか?

 

安田さん:

いつも仲間たちと、だいたい1時間半くらいかけて10キロほどを走っています。

 

渋谷なら代々木公園からスタートして、109の横を通って裏通りにある神社のお参りをして、ついでに沿道にあるヴィーガンのカフェに立ち寄ったり。広尾の有栖川公園を走ることもあります。あの辺りは緑が多くて、とても気持ちがいいです。

 

コーチが街のいろんなことに詳しいので、「この場所にはこういう由来があるから、この神社ができたんだよ」みたいな、街の歴史やウンチクを聞きながら走るのも楽しいんです。

 

もっと言えば、車や電車移動では出会えない穴場スポットを見つけられるのもいいんですよね。「今度、家族みんなで来てみよう」という場所を見つけることもよくあります。

 

私は地方出身だけど、今せっかく東京に住んでいるんだから、そういうディープな東京も満喫したい。RUNは、その想いを叶えてくれます。

悩む時間がもったいない!

── 仕事と家庭だけでなく、自分の趣味も楽しむ。小さなお子さんが2人いるとは思えない充実ぶりです。

 

安田さん:

うーん、子どもが生まれたからこそ、の充実な気もします。

 

だって、私はお酒が大好き。昔は、飲みに出掛けたら楽しくて止まらなくなっちゃって、千鳥足で帰宅なんてこともあったくらい。不摂生しちゃうこともありました。

 

でも子どもが生まれたらそうはいかない。長男が生まれた4年前、大好きな飲みに誘われても断るしかないときは少し寂しい気もしましたが、そこで「あ、私人生のステージが変わったんだな、それなら限られた時間は自分の楽しいことでいっぱいにしよう!」って思ったんです。

欲張りなのかも…と言いつつ充実した表情の安田さん

例えば仕事もしたいし、RUNもしたい。美味しいコーヒーも飲みたいし、料理は好きだから手間をかける幸せも味わいたい。欲張りなのかもしれません。確かに忙しいけれど、毎日楽しんでますよ。

 

── 自分のために何かしたい、と思っても子どもに手がかかって時間がない…というのが多くの親の実情だと思います。安田さんは、時間がないからと諦めることはない?

 

安田さん:

そうですね…。

 

あ、私もありました!実は「眉をアートメイクしたい、でも時間ないしなぁ」と思ってて。

 

そうしたら夫が「アートメイク?いいじゃん!行ってきなよ」と言って、子どもを見ていてくれたんです。

 

子育てをしていると、時間が格段に減りますよね。悩む時間がもったいない。

 

夫の言葉に後押しされて実際行ってみたら、「眉のアートメイクが気になる…でも時間ない…」とモヤモヤする時間はゼロになったし、気になったら即行動は、産後私が身につけたスタイルかもしれません。

「やりたいこと」を尊重してくれる夫

── 安田さんは人に見られるお仕事ですが、「母親なんだから眉アートは不要じゃない?」という旦那さんもいそうです。

 

安田さん:

その点、夫は理解がある、というかむしろ応援してくれるのでありがたいです。

 

夫は「母親なんだから子どものために自分を犠牲にして」という考えはまったくなくて、常に私の「やりたいこと」を尊重してくれます。

 

ただ、夫も多忙なので、いつも子どもを見られるわけではありません。

 

そういう場合は、シッターさんの手を借りるのですが、結構お金がかかるんですよね…。金額を見て2人でびっくりしたこともあります。

 

でも、夫婦どちらかが「やりたいこと」を我慢するよりも、その分、頑張って働けばいいよね、稼ごう!って。

 

私が育児をしながら、いろんなことを楽しめているのは、夫婦で考えが一致しているのが大きいかもしれませんね。

 

── 安田さんがプロデュースされている和ブランド『FOUR O FIVE』の起業も旦那さんのアドバイスだったそうですね。

 

安田さん:

はい、元々はアパレルをやりたかったのですが、夫に「美沙子ちゃんらしさが出るのは、アパレルよりもキッチングッズだと思う。料理が好きだし、調理道具やお皿も好きだよね。伝統文化が色濃く残る京都出身なんだから職人さんと何か作るのはどう?」ってアドバイスしてくれて。

 

長男が1歳のときに起業しました。

安田美沙子さん
和ブランド『FOUR O FIVE』の起業は長男が1歳のとき

── 1歳児を育てながら起業?すごい!

 

安田さん:

いえいえ、本当にスローペースでやってますので…。でも始めたからこそ、「やりたい…でもできない…」というモヤモヤは手放すことができました。

 

── 悩む時間を最小限にすること、夫婦でお互いの行動を制限しないことが、やりたいことを諦めない秘訣だと思いますが、やはり物理的に時間はたりなさそうです。

 

安田さん:

そうですね、今はフォトエッセイの校正作業が大詰め。子どもが寝た後、夜中にやっています。子どもが寝ている時間がいちばん集中できて、はかどるんですよね。

 

睡眠時間を削るのはダメ!と心配してくださる方もいますが、「やりたいこと」なので全然辛くなくて。

 

40代になると徹夜はできない、と聞くので今のうち…と思ってもいます。

 

育児中だからと諦めることなく、欲張りに、倒れない程度に、これからも毎日を楽しみたいですね。

 

PROFILE 安田美沙子さん

82年京都府生まれ。ドラマや映画等で活躍する傍ら、フルマラソンにも挑戦。31歳で結婚し、現在は男児2人のママ。食育インストラクターの資格取得や和ブランド『FOUR O FIVE』プロデュースなど精力的に活動中。2022年1月13日、ライフスタイルブック『安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし』(小学館刊)を発売予定。

取材・文/井上佳子 撮影/坂脇卓也