自宅をどうするか考える二世帯で考える様子

両親だけで住んでいる地方の実家。二人とも亡くなったらどうするか。考えたことがありますか?家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「両親が健在のうちに、将来について相談した方がいい」とアドバイス。実家問題を考える時に抑えておきたいこととは?

両親が亡くなってからでは遅い訳

最近は、空き家が全国的な課題になっています。地方にある実家も両親がなくなれば、その可能性が出てきます。もっとも、両親が亡くなっても、子どもの誰かが住む予定があるなら、悩む必要はありません。

 

問題は「子どもたちが誰も住まない」ケース。兄弟姉妹が皆、首都圏に家を持っていて故郷に帰るつもりはない。そうなると、将来、実家が空き家になります。

 

「どうするかは、そのときになって考えればいい」と思うかもしれませんが、親は親で「誰も帰らないなら、元気なうちに売ってしまい、小さな家に住み替えよう」と考えているかもしれません。

 

また、空き家になるのを見越した金融機関のサービスも登場し、高齢者に対して金融機関が猛アプローチをかけていることも耳にします。

 

つまり、親が元気なうちから、実家をどうするか、選択を迫られる可能性があるわけです。

「リバースモーゲージ」と「リースバック」を抑えよう

実家の将来を考える上で理解を深めておきたいのが、金融機関の2つのサービス。「リバースモーゲージ」と「リースバック」です。

 

リバースモーゲージは、自宅を担保にしてお金を借りられる住宅ローンの一種です。ポイントは、親が生きているうちは自宅にそのまま住み続けられること。融資を受けた金額の利息分だけを払えばOKです。家の持ち主が亡くなったら、その自宅がそのまま金融機関のものになります。

 

メガバンクや中堅金融機関が独自でサービスを行うだけでなく、住宅金融支援機構からも60歳から利用できる「リ・バース60」が登場し、複数の金融機関が取り扱っています。

 

一方、リースバックは、リバースモーゲージと似て非なる仕組み。生前に自宅を売却することで、まとまった資金が得られるのですが、売却後もそのまま賃貸で住み続けられるのが特徴です。再び物件を買い戻すこともできます。

 

共通しているのは、生前に両親がお金を得られること。これを活用すれば、老後の資金で苦労する可能性が大幅に減ります。将来、誰も住まないなら、これらのサービスを使うのも手。

後悔しないためにも話し合うのが大事

しかし、私はリバースモーゲージもリースバックも手放しにおすすめしません。本来の資産価値に比べて、得られる金額が少ないからです。

 

場合によっては、資産価値の半分程度の金額になることもありえます。それなら、普通に売却し、家賃が安い家に引っ越したほうが得策かもしれません。

 

なんだかんだ愛着のある実家。選択肢を間違えると、必ず後悔します。悔いのない選択をするには、両親が元気なうちから、実家についてよく話し合っておきましょう。

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ