天然なお母さんから受けた「意外な影響」

── お母さんは“母の顔”とは別にどのような面をお持ちでしょう? お母さんから何か影響を受けたことはありますか?

 

並庭さん:

母は結婚して妊娠・出産してからはほぼずっと専業主婦で、姉・私・弟の3人を育ててくれました。育児が落ち着いてからはパートで働いているのですが、結婚前は塾で英語の先生をしていたそうです。

 

母が英語を勉強するようになったきっかけはポール(・マッカートニー)と結婚するためだったらしくて(笑)。その一心で中学から英語を勉強し続けたことで、流暢に会話できるレベルまで上達していますが、簡単なことではないと思うので、それだけの熱意をもって物事に取り組めるところは尊敬しています。

 

母は英語を学んできたためか、世界に対する関心も強くて。家にいながらも、宗教間の紛争や難民問題に心を痛めたり、積極的に外の世界に触れようとする意識の高さ、視野の広さは見習いたいなと思いますね。 

並庭さん漫画P3

予想外の反響に母は「私のどこが変わってるのかしら?」

── 日常の風景が漫画になったことについて、ご家族はどのような反応でしたか?

 

並庭さん:

母は自分が漫画になっていること、さらに反響が大きかったことについてはかなり驚いていたようでした。「私のどこが変わってるのかしら?」と言っていましたね(笑)。とは言いつつも、漫画家として活躍する夢をもっていた私がこの連載を続けられていることを喜んでくれています。

 

姉も私の仕事を応援してくれていて、面白いエピソードを思い出したらネタを送ってくれることもあり、かなり助かっています!

 

── ご家族が味方になって応援してくれるのは心強いですね! 漫画ではお母さんのインパクトが強いですが、お父さんはどのような方ですか?

 

並庭さん:

父は母とは対照的なタイプです。“人間らしい、常識人”というんでしょうか。前に私がスカートを履いて外出しようとしたときに、父からまるで女子高生に注意するかのようにスカートの短さを指摘されたことがあって。もうアラサーなのに、ちょっと過保護すぎるのでは?と思ったことも…。

 

定年退職後は料理がどんどん得意になって、よく晩御飯も作ってくれます。スーパーのお得な食材ハントに燃えたり、「インスタ映えするサラダを作ったよ!」と、華やかにサラダを盛りつけてくれたりも(笑)。

 

── お料理までできちゃうなんて素敵なお父さんですね。しかもインスタ映えまで意識されるとは…発想が若い!

 

並庭さん:

そんな父も60代後半なんですけどね。人に何かしてあげるのが好きでかいがいしいところがある人です。両親には元気をもらっています。

 

 

意外にも「普通の家族だと思っていたのに、普通じゃなかった!」という並庭さんにも大物感が漂っています(笑)。次回は大人になってからの実家の家族との付き合い方について、並庭さんの思いを伺います。 並庭マチコさん(Twitter@manga_m)

取材・文/望月琴海