書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、親が子どもに言ってはいけない言葉を伺います。今回は「あとで」という言葉。言われ続けた子は大人になってから親との関係性が悪くなると言います。
「あとで」は「あなたは重要ではない」のメッセージ
── 「今忙しいから後で」とはつい、言いがちな言葉ですが、言ってはいけないとおっしゃるのはどうしてでしょう。
坪田先生:
「あと」って何分、何時間後なのかわからないですよね。
全然向き合ってもらえていないじゃないですか。何が忙しいかもわからないし。
こっちとしても言いたいことがあるから見てほしいわけだけど、親もやりたいことがある。しかし、その何かも伝えてない。
恋人関係で考えるとよくわかります。恋人から電話がかかってきて、電話取ったときに、「今、忙しいからあとで」と言われたらどうですか。
そうなんだけど、悲しいですよね。例えば「今、仕事の準備しているから、15分後ぐらいにかけ直すね」というのは違いますよね。
職場の上司からの内線にどう答えるか
── ぜんぜん違いますね、理由を聞くだけで。
坪田先生:
そうそう。「今、忙しいからあとで」という言葉を、それって上司に言えますかっていうことですよね。
上司から内線きて、「今、忙しいからあとですみません」って、言えないでしょう。
── ちょっと強い感じがしますね。
坪田先生:
「すみません、資料まとめているものがあるので15分後でいいですか」などと言えれば、「それならいいよ」と言われるかもしれないし、「今すぐどうしても必要なものなんだよね」という説明が聞けるかもしれない。
だけど、「今、忙しいからあとで失礼します」ガチャって、ありえないですよね。
── でも、子どもにはついやってしまうと。
坪田先生:
子供だからやっているというのは、完全に下に見ているし、「あなたは重要じゃないです、私にとって」と言っているのと同じことなんです。
── スマホを見て「あとで」とか言っていると、「あなたはスマホ以下です」と言っていることになると。
坪田先生:
ええ。私にとってあなたはスマホ以下ですと言っていることになってしまう。
── そうなると、どんな子に育っていってしまうのでしょう。
坪田先生:
少なくとも親のことは信用できると思わなくなってしまう。重要な人にはそんなことしませんよね。相手に「重要じゃないよ」としているわけだから、子どももそれを受けて、「自分は重要じゃない」と思ってしまう。そして、その相手を信頼しなくなる。
── 先生のところはたくさん子どもがくると思いますが、忙しいときはどうされてますか。
坪田先生:
今、自分がこういう状況だから、空いているのはここだから、ここで話そうと言っています。「あとで」っていうのは最悪だし、「いつなんだ」となります。大事にしていないことを表していることになり、親子関係が冷えてしまいます。
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。
取材・文/天野佳代子