夫婦で料理ユニットとして活躍するぐっち夫妻。SNS総フォロワー80万人超、料理本は4冊出版、雑誌などの連載は5本以上…!と、忙しい日々を送っています。
そんな多忙なふたりだからこそ、家事を上手にまわしているに違いない!…というわけで、家事シェアの実態からスムーズにこなす工夫、仲良く暮らすために心がけていることについて聞きました。
「気づいたほうがやる」スタンスでも家事が偏らない工夫とは
── 自宅での家事分担はどんなふうにされていますか?
SHINOさん:
分担は特別決めていないんです。そのつど、手が空いているほうがやることにしています。ゴミ捨てはTatsuyaさんにおまかせすることが多いですね。わが家は2階がリビングで、2階から1階へゴミを持って行くのが大変なので、いつもお願いしています。私は布団を干すのが好きなので、率先してやります(笑)。
── 素晴らしいコンビネーションですね!でも、分担が決まっていないと、どちらかに家事が偏ってストレスを感じてしまう気もしますが…。
Tatsuyaさん:
僕はそんなにストレスは感じていないですね。もちろん、女性のほうが気がつくので、家事量は僕よりSHINOさんの方が多いと思います。僕には見えない家事とか(笑)。
SHINOさん:
やっぱり女性のほうが細かいところに気がついちゃいますよね。そういうときはあえて、「洗濯ものを干しておいたよ」などと言って、自分がした家事を声に出して伝えるようにしています。
最初は口に出して言うのはどうかな…と思っていたのですが、言わないと気がついてもらえないなと。「ありがとう」と言われれば嬉しいし、口に出すことで“私だけが家事をやっているんじゃないか”というモヤモヤした気持ちが減ったような気がします。Tatsuyaさんにとって効果がどれほどあるかはわかりませんが(笑)。
── そういう工夫って素敵だと思います!ほかに何か工夫されていることはありますか?
Tatsuyaさん:
考えてみると、命令口調で指示されることはないかも…。
SHINOさん:
命令すると絶対やらないとわかっているので。そうすると自分もいい気持ちがしないですし。「わー、いい天気。洗濯もの干したら絶対気持ちいいから、干さない?」と、誘うように声がけするようにしています。
Tatsuyaさん:
おかげでイヤな思いはしないですね(笑)。それと、撮影が続くと忙しくてどうしても家事に手がまわらないので、ピンチのときは、家事代行サービスに頼るのも大事かな。ずいぶん助けてもらっています。
SHINOさん:
家族の時間と心の余裕ができるならいいよね、と思ってお願いしています。
ケンカしないコツは「ひとりの時間を尊重すること」
── お話を聞いていると、とても仲がよさそうですね。普段ケンカはしますか?
Tatsuyaさん:
僕が仕事のことで熱くなって、ひとりでプンプンしていることはありますが、夫婦でケンカはあまりしないですね。SHINOさんがすごくできた人、というのもあると思います。
SHINOさん:
いえいえ。私は怒ると疲れちゃうので、普段から怒らないタイプなんです。レシピ開発の仕事が残っているのに、急にTatsuyaさんが友達を家に連れて来たりすると、ちょっと困りますけど(笑)。
でも、怒ってもしょうがないので、そんなときは「まあ今日はいいか」と受け入れます。仕事をするのはあきらめて、自分は自分で好きなことをしますね。
── 自分が機嫌よくいられるよう、さりげなく対立する状況を避ける工夫されているんですね。真似したいです!
SHINOさん:
そうかもしれませんね。それと、相手が集中しているときは話しかけないようにしています。
Tatsuyaさん:
僕は集中しているときに話しかけられると、「ちょっと待って」と言っちゃうタイプなので…。
SHINOさん:
相手が聞く耳をもつタイミングじゃないと言っても意味がないと思うので、とりあえず放っておいて、自分の好きなことをしています。もちろん、今すぐ言わないといけないことなら伝えますが、よく考えると、急用ってじつはあんまりないんですよね。
── TatsuyaさんはSHINOさんとケンカにならないように心がけていることはありますか?
Tatsuyaさん:
悪いことしちゃったなと思ったら、コンビニに行ったついでにSHINOさん分のコーヒーやスイーツを買ってくるようにしています。お決まりのパターンです(笑)。
あとは、それぞれひとりの時間をつくるようにしていますね。お互いを尊重するというか。
SHINOさん:
夫婦とはいえ、一個人なので。
Tatsuyaさん:
たとえば趣味なら、最近行けていないけれど、僕は夏フェスやアウトドアが好きなんです。SHINOさんはミュージカルを観たり、おいしいコーヒーを飲みに行ったりするのが好きで。お互い興味を持ったら一緒に行くけれど、強引に誘うことはしませんね。
SHINOさん:
家族ではあるけれど、それぞれがなりたい自分とか、こうふうに生きたい自分があると思うので、それを実現するために時間を使えたらいいなと思っています。
Tatsuyaさん:
ひとりの時間はすごく大事にしていますね。そういうところがうまくいかないと、ケンカも増えてしまうのかもしれませんね。
── 女性は男性に「察してほしい」、男性は女性に「具体的に言ってほしい」と思いがちで、その結果すれ違い起こる、という話をよく聞きます。おふたりの場合はいかがでしょうか?
SHINOさん:
「察してほしい」という気持ちはもちろんあります。でも、相手に求めすぎても変わらないので、求めない、なるべく強要しないようにしています。
Tatsuyaさん:
僕もそうですね。お互い違う人間なので、変える必要はないのかなと。尊敬するのがいちばんというか。一人ひとりその人のよさが絶対にあって、そのよさがあるから個性があると思うんです。
── 理想の関係ですね!お互い、どういうところを尊敬していますか?
Tatsuyaさん:
圧倒的に優しいところ。人に対しての気遣いがすごい。あと、すごく謙虚。自分のことより先に人がどう思うかと考えられるのは、とても素敵だなと思います。
SHINOさん:
行動力があるところですね。悩んだり誰かに頼んだりする前に、まず自分で行動するのはすごいなと思います。最近、アメリカや中国の人たちにもYouTubeやTik Tokのライブ配信を閲覧してもらえるようになったのですが、それも彼の行動力のおかげ。自分にはできないことなので、尊敬しています。
PROGILE ぐっち夫婦
Tatsuya、SHINOからなる夫婦料理家ユニット。「日々の暮らしを楽しくおいしく。ちょっとおしゃれに」をテーマに、レシピ開発をはじめ、オンライン料理教室、ブログ、SNS、各メディアで食の情報を発信している。近著は『お疲れ、乾杯。今夜は家呑み』(KADOKAWA)。https://gucci-fuufu.com https://note.com/guccifuufu/
取材・文/小松﨑裕夏 撮影/松村隆史