反町隆史
若い人には「頑張りすぎんなよ」と言いたい

ドラマ「今どきの若いモンは」(放送・配信中)で主人公である究極の上司・石沢一を演じている反町隆史さん。

 

「いまだにガラケーを使っている」という反町さんは、デジタル社会での世代間ギャップを感じることもあるそう。そんな反町さんが考える年長者の役割は、優しさにあふれたものでした。

若い人には「頑張り過ぎんなよ」と言いたい

── 若い頃、「今どきの若いモンは」と言われた記憶はあるけれど、内容はあまり覚えていないとおっしゃっていましたが(笑)。先輩から言われて覚えている言葉はありますか?

 

反町さん:

学生の頃のサッカー部のコーチの言葉は、今でもよく覚えています。サッカーはチーム競技だから、隣で苦しんでいるチームメイトがいたら、それは自分の苦しみでもあるということ。苦しい時は自分だけでなく、隣にいるチームメイトを救いなさいと強く教えられました。

 

── 反町さんが今どきの若い人にアドバイスするならどんな言葉をかけますか?

 

反町さん:

「頑張りすぎんなよ」と言います。「頑張れよ」とは言わない。一生懸命やることはいいことだけれど、頑張りすぎないこともすごく大切だと思っています。

 

5割、6割、7割くらいまででいい、「頑張りすぎないでやれよ」と普段から感じているので、かけるとすればそんな言葉かな。相手のいいところをどれだけ見られるか、それも上司というか年上の役割かなと思っています。いいところを見つけて、褒めて伸ばしたい気持ちがあります。

ネット社会での世代間ギャップは感じるけれど

── ドラマの中でも描かれる世代間ギャップ。反町さんが実感している世代間ギャップはありますか。

 

反町さん:

ドラマの中でもそうだけど、プライベートでも感じるのはネット社会での世代間ギャップですね。娘は僕なんかよりはるかに早くなんでも分かっちゃうし。

 

幸い、役者という仕事はアナログで、パソコンを扱えなくても全然困らないんです。ネット社会とはうまく付き合っていきたいとは思うけれど、聞いちゃったほうが早いから、分からないことがあるとすぐに娘に質問します。するとすぐに答えが返ってくるから、頼りっきりです。

反町隆史
年下に教わることには抵抗がない

── 年下の方に質問することに抵抗はないタイプですか?

 

反町さん:

ないない!僕、いまだにガラケー使ってるから、現場では必ず「まだ、ガラケーですか?」って言われるし(笑)。

 

ポリシーとかではなく、電話だけのほうが使いやすいし、実際どうなのかは分からないけれど、なんか電波がいいように感じたりもしていて。ガラケー、多分使い続けると思います。不便じゃないもん。むしろ便利で使いやすいからね。

 

── ネット社会といえば、配信サービスなどドラマの視聴スタイルにもさまざまな変化が生まれています。どう感じていますか?

 

反町さん:

演じる側としては、役を全うするという役者のすべきことに変化はないと感じています。

反町隆史
時代は変化しても役者のすべきことは変わらない

ただ、コンプライアンス的に制約もあり表現ができないこともあれば、そういったことに果敢にチャレンジできる場合もある。放送・配信される場所によってその度合いも変わってきます。

 

今回のドラマも、もし1話1時間ドラマで描くとなったら出来上がりは違うものになっていたはず。30分枠で3話分放送の新しい形式がとれるのも素晴らしい試みだと感じています。時代や視聴方法に合わせて、さまざまな制作形態が出てくるのもおもしろいですよね。

 

実際に仕上がった映像を見て、今回の場合はすごくテンポもいいし、観やすいという印象がありました。役者としてこういった新しいものに挑戦できるのは、単純にうれしいですよ。

役者としてのポリシーは「優しさと感謝」

── ガラケーを持ち続けることに特別なポリシーはないとのことですが(笑)、役者としてのポリシーはありますか?

 

反町さん:

一番は、人に優しくできたらいいなと思っています。

 

あとは感謝。今まで役を通じて、たくさんの人間性や感情と向き合ってきました。こういった取材でもそうですが、自分が演じてきた役や作品を振り返る中で、いろいろと勉強させてもらっている。そのことに感謝する気持ちは持ち続けていたいと思っています。

反町隆史
周囲を気遣う「どう?」が口癖

── ちなみに、反町さんにはドラマで演じた主人公・石沢のような口癖はありますか?

 

反町さん:

あるかな、どう?(と、マネージャーさんやプロデューサーさんに尋ねる反町さん)

 

マネージャーさん:

それです!「どう?」ってよく言っています。「調子どう?」「大丈夫?」みたいな気遣いの「どう?」がすごく多いです。

 

反町さん:

ですって(笑)。自分では分からないね。知らず知らずに言ってるんだね、きっと。無意識だったな。

 

── 実は、先ほどからよく出ていました「どう?」って(笑)

 

反町さん:

あははは、本当に?じゃあ、完全に口癖だね。

 

PROFILE 反町隆史さん

1973年生まれ、埼玉県出身。ファッションモデルを経て94年に俳優デビュー。ドラマ「ビーチボーイズ」(1997)、「GTO」(1998)など話題作に立て続けに出演し、自身が歌う主題歌もヒット。ドラマ、映画と数多くの作品で主演を務める。主な作品に映画『男たちの大和/YAMATO』(2005)、「座頭市 THE LAST」「交渉人THE MOVIE」(2010)、NHK大河ドラマ「八重の桜」(2013)などがある。2015年よりドラマ「相棒」シリーズで水谷豊演じる杉下右京の4代目相棒・冠城亘役を務め、歴代最多出演回数を更新。2022年3月のseason20の放送終了をもって7年務めた相棒役を卒業した。

取材・文/タナカシノブ 撮影/井上琢也【井上美術(株)】 ヘアメイク/iNOMATA(&’s management) スタイリスト/吉野誠
衣装クレジット ジャケット10万3400円/タリアトーレ(伊勢丹新宿店)、カーディガン3万4100円、クルーネック2万7500円/ともにスローン、パンツ7万3700円/カナーリ(コロネット)、時計78万7000円/パネライ(オフィチーネ パネライ)、その他はスタイリスト私物