たった1度の過ちが家族の幸福を永遠に奪ってしまう
怒りなのか、悲しみなのかわからないやり場のない思いで、カホさんは妹を追い出し、母に電話でぶちまけました。
「結果、妹は実家からも追い出されたんです。私と妹の共通の知人によれば、妹はパートや夜のバイトなどをしながら暮らしているようです。夫は私に土下座して謝りましたが、今もどこか冷たい関係です。私も仕事をしているので離婚することも考えました。でも、離婚したら妹に負けるような気がしてできなかった」
初めての子が生まれて家族みんな、仲良くやっていこうと思っていたのに…とカホさんは苦しそうに顔を歪めました。彼女は実家に子どもを連れていきますが、そんなとき夫は一緒には来ないそう。両親にどう接していいかわからないのでしょう。
「うちの両親もつらそうです。ふたりの1回の過ちが家族を分断し、おそらく今後長い間、あるいは一生、みんなが傷つきながら暮らすしかないんですから」
“流れと勢い”でふたりがした行為は、家族を巻きこみ取り返しのつかないところまで行ってしまいました。一瞬の欲望は怖い。カホさんは厳しい表情でそう言いました。
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。