姉妹というのは仲がよければ強い味方ですが、幼い頃からの確執がある場合は大人になってからも難しい関係になりがちです。特に妹の中にくすぶる“コンプレックス”を知らないこともあり、それが家族の関係を崩壊しかねないこともあるようです。
うまくいっていた結婚生活が狂い出した理由
「私は妹を信頼していました。でも、彼女は私を裏切った。小さいときから両親に同じようにかわいがられてきたのに、彼女は私を勝手に憎んでいました。きっといつか復讐してやりたいと思っていたんでしょうね」
なんともいえない表情でそう話すのは、カホさん(37歳)です。彼女は4年前、2年つきあった同い年の男性と結婚しました。
「彼は私の実家にもときどき遊びに来ていました。2歳下の妹エリとも気さくに話していたし、両親も彼を信頼していました。父が病気になったときは入退院時には、率先して車で送り迎えするなど、親からは『早く結婚したほうがいい。あの人を離すな』と、言われたくらいです」
ふたりの娘をもつ父は、息子ができるような気持ちで彼を迎えたのだろうとカホさんは想像しています。結婚後はすべてうまくいっていました。カホさんと夫は実家近くに住み、実家は両親とエリさんの3人暮らし。1年後にはカホさんの妊娠がわかり、エリさんの結婚も決まりました。
「ところがその後、エリが婚約を破棄したんです。何があったのかわかりませんが、エリはひどく落ち込んでいました。ただ、両親も私も生まれてくる子のほうに気をとられていたのはたしかでした」
カホさんは産後、退院してからの手伝いをエリさんに頼もうと考えていました。エリさんは婚約破棄後、仕事も辞めてふさぎ込んでいることが多かったからです。新生児を抱えてバタバタしていれば、少しは嫌なことも忘れられるかもしれないと彼女を思いやったからです。
娘が生まれてからは、エリさんはカホさん宅に朝から来ては面倒を見てくれました。ただ、日がたつにつれて、カホさんはエリさんの様子がおかしいなと感じていました。妹が疲れてしまったのではないかと思い、ひと月経った頃、ムリしないでと伝えました。