「家庭科は男女必修」が当たり前の娘

結論からいえば、さいわいこれは杞憂でした。

 

現代の学校教育は、以前と比べればかなりジェンダーについて配慮がされています。友達に対して性的な役割を強制したり、見た目についてからかうような事を言えば、先生から厳重に注意をされるそうです。

 

小学5年生の娘に、お父さんが子どもの頃は、家庭科は女子だけ、技術は男子だけが勉強したりしてたんだよと言うと、なんで?男女関係なく、みんなに必要なことでしょ?と心底不思議そうでした。

 

周りの環境が圧倒的に新しい時代へと動いているので、義父母のちょっとした言動にも、それほど心動かされることはなさそうです。

 

まして、子ども達は思春期真っただ中、反抗したい盛り。気の強い娘などは、義母から「女の子なんだからパンツが見えないように足をちゃんと閉じて」と言われると即座に「じゃあ男の子はパンツ見えててもいいっていうの?」と言い返します。

 

触れるものみな傷つけるガラスの十代です。私はどう対応するか迷いながらも、男女どっちもパンツが見えるのはあんまりお行儀よくないよね、ととりなしました。

 

私たち親世代は二つの世代の橋渡しを

親があまりどちらかの世代に極端に肩入れしない、というのも家庭平和のコツかもしれません。義父母には、「子ども達は新しい世代を生きているので」と理解をお願いする。子どもたちには、「君たちの言い分はとても正しいけれど、おじいちゃんたちも何十年も教えられて染みついている考え方があるから、急には変われないのだよ」と理解を求める。

 

私たち親世代は二つの世代の橋渡し、クッション役になれたらいいなと心掛けています。

 

そういえば面白いのが、子ども達にとって、日曜の夜のご長寿家族アニメ番組や、平日朝に観る古いNHK朝ドラの再放送が、祖父母世代の考え方を知るよい教材になっていることです。

 

子ども達にとって、前時代の家族の姿は、まるで時代劇や、歴史の教科書のように感じているようです。

 

今、小学生の娘が楽しみに観ているのは、昭和60年に放送されていた朝ドラの再放送です。お大尽の妾の子として産まれた女の子が、両親の大反対にめげずに好いた相手と添い遂げる…というストーリー。「昔はお父さんがこんなに威張ってたの?」「なんで結婚相手を勝手に決められなきゃいけないの!」と憤慨しながらも毎朝欠かさず観ています。

 

「おじいちゃんが子どもの頃は、女の人が家のことするのが当たり前だったんだね、今は家族がみんなでやるのが当たり前だけど…」と娘が呟いていました。義父が皿洗いをしていても、同居嫁としての肩身の狭さに負けず、鋼の心で朝寝坊を続けてきた私は間違っていなかった…!そう思った出来事でした。


子どもたちの心のタフさを心強く思いつつ、我が家の空気もこうやって少しずつ令和色に染められていくんだな、と思う今日この頃です。

 

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文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ