適当タイプの夫に言われたひと言
そのくらい精神的にも追いつめられていたのかもしれません。彼女は子どもの頃から「何ごとにもいつも全力で取り組むこと、それなりに成果を上げること、明るく人に接すること」を自分に課してきました。そうやって、完璧ではないにしても、自分の望むものを手にしてきたのです。
「夫はもっと適当なんですよね。家事も育児も。それを見ているとイライラするんですが、分担しているのに私がやってしまったら夫はやらなくなる。だから黙っているしかありません。先日も食事前に子どもに甘いものをせがまれて、『ちょっとだけだぞ』なんて言いながら与えようとしたので、阻止しました。夫は『たまには、ルール以外のことをしてもいいだろ!』と言うのですが、それではダメだと思う。夫は『ママは厳しいな〜』なんて、おどけて子どもを笑わせていましたが、それを見てへこみました。私をダシにして子どもの機嫌をとるのはやめてほしいんです」
夫とは常に話し合うようにしていますが、ときおり夫は「君とずっといると、子どもたちだって息が詰まると思うよ」と言って、“いいかげんと適当”を貫いているそう。夫婦としてバランスがとれているようですが、サホリさんは「頭では、夫の“適当”も悪くないとわかっているんですが、ときどき無性に許せなくなる。そして許せない自分がイヤになる」と言います。
気を抜く、手を抜く、力を抜くことは意外と大事。自分に何かを課さなくても、日常は十分大変なのですから。互いに「ありがとう」と声をかけ合って、細かいことは見て見ぬフリをするのも、多忙な生活を乗りきるのに必要なことかもしれません。