個性のひとつとして感覚過敏に寄り添いたい
── 息子さんは、中1のときに保健の先生から感覚過敏ではないかと助言されたそうですね。その後、医師の診断などは受けず、その症状に向き合ってきました。感覚過敏という言葉を知ったときは、どのように感じましたか?
加藤さん:
初めて息子の言動が腑に落ちて、親子ともどもラクになれました。もしもっと早く知っていたら、彼の言動を理解したり、「そういうこともある」と受け止めたりできたと感じます。
小学校低学年ごろまでは、個性が見えづらく感情を言語化する力も低いため、息子を「わがままだ」「普通よりも劣っている」と思い込んでいました。地域の幼稚園、小学校に通っていたので、ほかの保護者の視線も気になって。
学校やクラスの一番にはなれなくても、ビリにはなってほしくない。そんな気持ちから、「普通に食べられるようになって」「普通の成績を取って」「足が速くなくてもいいから真ん中ぐらいでいて」といった物差しを押し付けてきた。今はそれを申し訳なく思っています。
── 保護者は、子どもの感覚過敏とどのように付き合っていけばいいでしょうか。
加藤さん:
感覚過敏は、日常生活に困難を生じさせる一方で、自覚しづらく、他人にも理解されにくいもの。病気ではなく症状なので、医師に相談しても「原因不明」と言われることがよくあるそうです。
感覚過敏は発達障害の子に現れるケースが多いので、それで通院していれば担当医に相談するのもいいでしょう。診断名が必要ないのであれば、親子で会話をしながら、本人が抱える不快さをどう解決していくか、一緒に考えていくのがよいと思います。
悩みがあるなら、抱え込まず、周囲に発信してみて。必ずどこかで理解し、助けてくれる人が出てきます。お互いに、子どもの個性のひとつとして寄り添っていけたらいいですね。
PROFILE 加藤咲都美(かとう・さとみ)さん
取材・文/有馬ゆえ