最低限抑えておきたい4つの項目

源泉徴収票は、マイナンバー導入により、数年前から紙のサイズが大きくなり情報量も増えましたが、主に確認したい項目は4つです。

 

・支払金額

ここには、1月〜 12月までに支払われた、または支払われる予定の給与の総額が記載されています。この「支払金額」は手取り金額ではなく、税金や社会保険料が引かれる前の「額面の金額」です。ただし、月15万円までの交通費は含まれません。また、1年間の途中で転職した場合は、以前に勤めていた会社からの給与も含まれています。クレジットカードや住宅ローンを借りる際に「年収」を書く欄があればこの金額を書きます。また、額面金額が前年に比べて増減しているかを確認し、増減要因についても考えると今後の収入の見通しも立てやすくなるでしょう。

・給与所得控除後の金額

ここには、給与から会社員の必要経費にあたる給与所得控除を差し引いた金額が記載されています。

 

そもそも所得税は、11日から1231日までの暦年の所得に対して課税されます。といっても、1年間の収入の金額から、そのまま所得税の額を計算するわけではありません。簡単に説明すると、まず、収入から「その収入を得るために使った費用」などを差し引いて「所得金額」を計算します。次に以下で説明する、その人や家族の状況、あるいは災害や病気などを考慮した14種類の「所得控除」を引いて、「課税所得金額」を求めます。この課税所得金額に所得税率を掛けて、所得税が求められるのです。

 

会社員の場合でも通勤するためにスーツや靴、ビジネスバッグなどを購入しますよね。こういった必要経費としての費用を「給与所得控除」として、給与収入に応じて一定の金額が認められています。

参考:給与所得控除額の金額 https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm

 

つまり、「給与所得控除後」の金額とは、給与収入から経費(給与所得控除)を差し引いた「給与所得」のことを指します。給与所得控除は縮小傾向にあります。控除が縮小になれば増税になる上に、手取り年収も少なくなるので、給与所得控除の動向もチェックしましょう。

・所得控除の額の合計

ここには、適用になった所得控除の合計金額が記載されています。上記で説明したように、所得税は給与所得からさらに「所得控除」を差し引いた「課税所得」に対してかかります。

 

所得控除とは、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度です。所得控除は全部で14種類。まず、所得が少ない人に重い税負担がかからないよう、課税最低限を保障するものとして「基礎控除」「配偶者控除(または配偶者特別控除)」「扶養控除」があります。

 

次に、個人の事情を考慮して税負担を軽くするものとして、「障害者控除」「寡婦控除」「寡夫控除」「勤労学生控除」があります。障害者控除は、本人または配偶者、扶養親族が該当する場合に受けることができ、それ以外の控除は本人が該当する場合に加算されるもの。

 

さらに、社会政策上の必要性から「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寄附金控除」があり、病気や被災した人の税負担を軽くする「医療費控除」「雑損控除」もあります。

 

給与所得控除後の金額=給与所得からこの「所得控除の額の合計額」を差し引くと、「課税所得」を求めることができます。

 

収入が多くても差し引ける「所得控除」が多ければ課税所得の金額が少なくなるので、その結果、税金が安くなります。所得控除の内容を理解して、受けられるものは漏れなく受けるようにしましょう。

・源泉徴収税額

ここには、会社が給与から差し引いて支払った所得税が記載されています。そもそも所得税は、課税所得金額に所得に応じた税率をかけて算出されます。所得税の税率は、所得が多くなるにしたがって段階的に高くなる「超過累進税率」となっています。

 

源泉徴収票には、手取り年収は記載されていませんが、「支払金額」―「源泉徴収税額」―「社会保険料等の金額」を計算することで、求めることができます。

 

ただし、この金額には住民税は反映されていません。というのも、源泉徴収票には、住民税の記載がないからです。住民税については、毎月の給与明細で確認しましょう。1年分の住民税の金額を差し引くことで、正確な年間の手取り金額を知ることができます。

参考:所得税の税率  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm