今年の誕生日プレゼントは『自由な週末』
3月は私の誕生月です。主人に「誕生日プレゼントに何か欲しいものがあるかな?」と聞かれたので、ダメ元で「久しぶりに一人旅に出る時間が欲しいかなー」と言ってみたところ、「あ、それなら子供の面倒と家事やってあげるから好きなところ行っておいでよ!」と意外にもあっさりOKが出ました!!
独身時代はバックパッカーの如く、身軽に国内・海外へ一人旅に出ていた私ですが、さすがに数日間不在というのは家族に負担がかかるので、土日を利用して国内を一人旅をすることに。 そこで頭に浮かんだのが「そうだ、京都、行こう」のキャッチフレーズ。数年ぶりに早春の京都へ一人旅に出かける事にしました!
一人旅だからこそ、テーマ・計画性・こだわりのある旅に♪
実は私は、京都に数年に一度は訪れているリピーターではありますが、殆どが仕事との兼ね合いで、休暇が取りやすい冬に訪れる事が多かったのです。冬の京都もなかなか趣があるのですが、いかんせん寒く、風景の色彩が寂しい…。そんな訳で、今回の旅のテーマは「春を感じるイベント参加」に決定!正味1.5日しか滞在時間がありませんので、京都のキャンペーンイベント「京菓子コレクション」という、京菓子職人さんの腕前を拝見するイベントと、12月から3月限定の夜の茶会「夜咄(よばなし)」の参加を旅のメインにして、計画を立てました。 私のおひとり様旅の旅程は、ざっとこんな感じです。
【1日目】 ・23:45地元発の夜行バスで移動⇒6:00京都着 ・夜行バス利用者用ラウンジで化粧・着替えを済ませ、荷物を預かってもらう ・京都駅地下カフェで朝食⇒観光案内所でバス周遊券購入⇒バス乗り場へ ・バスで北野天満宮へ⇒イベント「京菓子コレクション」参加及び境内参拝 ・北野天満宮から大徳寺前まで移動⇒つまみ細工ワークショップ参加 ・大徳寺前から金閣寺前まで移動⇒地元のレストランでランチ。その後金閣寺見学 ・金閣寺から京都駅へ戻り、預けてある荷物を受け取り、駅近のホテルへチェックイン ・ホテルから高台寺に移動して、夜咄に参加(点心の夕食 ⇒ 喫茶 ⇒ 茶事 ⇒ 夜間境内見学) ・高台寺からホテルへ戻る
【2日目】 ・8時過ぎにホテルをチェックアウトして、荷物を京都駅地下のコインロッカーに移動 ・バスで清水寺近くに移動⇒清水寺周辺の沿道でお土産ショッピング ・11時頃には京都駅へ移動⇒12:08発の新幹線で東京戻り
1.5日分の滞在時間だと、上記の予定で精一杯でした。それでも存分に京都らしさは満喫出来ましたよ♪ (本当は帰りの新幹線の時間を遅くしたかったのですが、この日は家族に夕飯位は作りたいし、次の日は仕事なので最低限の家事も帰宅後に行う事を考えると、やはり出発が午後早めの新幹線でなければ難しかったです。)
初日はひたすら美しいものを鑑賞!
1日目はまず、京都到着後に自宅から持参した着物(洗える着物と半幅帯)に着替えてから観光スタート。やはり京都は着物着用だと気分がアガるので(笑)。ちなみに京都では「きものパスポート」なる小冊子が用意されていて、着物姿でこのパスポートを提示すると、街中の色々なお店や施設で割引等の特典が受けられます。京都で着物を着用して観光される方は、是非観光案内所等で頂いておいた方がお得です。私も頂きましたよ♪ さて、最初の目的地の北野天満宮ですが、ちょうど梅の花が咲いていて、とても良い雰囲気でした!北野天満宮の梅苑への入苑は有料ですが、私の参加するイベント『京菓子コレクション』参加代に入苑料も含まれていたので、梅苑に咲き誇る梅の花と香りを存分に楽しませて頂きました。 『京菓子コレクション』の会場は北野天満宮敷地内にある文道会館でした。会場では老舗和菓子店が趣向を凝らした美しい和菓子を2種類選べて、これにお抹茶を付けてもらえました。私は笹屋伊織製の『野の花』、俵屋吉富製の『神使』という綺麗なお菓子を二つ選ばせて頂き、緋毛氈に腰かけて、梅苑を見渡しながらおいしく頂くという、贅沢なひとときを過ごさせて頂きました。
※写真左より「梅の咲く境内」、中央「京都有名和菓子店の創作和菓子勢揃い」、右「私の選んだ茶菓のセット」
お菓子とお抹茶を頂いた後は、会場内に展示されている“ほぼ本物にしか見えない”工芸菓子の数々や、干菓子の繊細な木型などを鑑賞してうっとりしていました。 また、この日は笹屋伊織の職人さんが、目の前で和菓子作りを実演して下さいました。鮮やかな手さばきはもちろんの事、軽快な京都弁トークにも思わず引き込まれました。 例えば、桜の練り切りでも、シンプルな形のものや、花びらが多い華やかな形のもの等、同じ桜でも形は様々なので、その形に合った菓子名を付けるそうです。(例えばシンプルな桜は『ひとひら』、ゴージャスな桜は『花宴』等)そして、和菓子も着物と同じく季節を先取りするものらしく、例えは桜のお菓子は4月に作るのでは遅く、3月に作るものなのだそうです。これは知らなかった!良い勉強になりました。 ちなみに、この日は3月3日のひな祭りの日でしたので、ひな祭り限定のお菓子「ひちぎり」作りの実演も見せて頂きました。この様に、知らない知識を新たに得られる体験は、幾つになっても楽しいですね。
※写真左より「美しい工芸菓子」、中央「干菓子の木型」、右「和菓子職人さんの和菓子作りの実演」
さて、この後は大徳寺近くにあります「おはりばこ」という和雑貨の専門店にて、人生初のつまみ細工体験ワークショップに参加。こちらの店舗では、素敵な京町屋風のお部屋で綺麗な絹の布を使ったつまみ細工を体験できるので、可愛いもの好き女子ならときめきます!私はつまみ細工の梅型クリップを作成しました♪ 綺麗な絹の布をピンセットでつまんで糊を付け、お花の形に整えていく作業は結構難しかったのですが、永らく眠っていた女子力が目覚めるかと思える(笑)楽しい作業でした。
※写真左から「ワークショップ会場」、中央「つまみ細工のパーツ作成途中」、右「完成したクリップ」
無事作品を完成させた後は、バスで金閣寺周辺へ移動して、かわいいビストロでランチを頂きました。京都に来たら京料理!といきたいところですが、そういうお店は混んでいるので待ち時間がもったいない!と、地元の方が利用しそうなお店を選び、待たずに日替わりランチを頂いてから店を後にしました。 この後は、数回京都をリピートしながらも訪れたことが無かった金閣寺を拝観することに。さすがに金閣寺は美しいだけあり国内外の観光客の皆様で混みあっていましたので、スピーディーに敷地内の写真撮影を済ませて早めに退出(要は押し合いへし合いによる着物の着崩れを恐れた訳です)。一旦バスで京都駅前まで戻り、宿泊するホテルへチェックインしました。 そして17時過ぎにホテルから高台寺に出発。今回も移動にバスを使い、夜咄開始の15分前には高台寺到着。この後受付を済ませて、高台寺前の食事処「羽柴」にて点心の夕食を頂きました。(『点心』とは、茶の湯の食事の事で、茶懐石がお弁当になったものを言うそうです。)この夜咄という茶会ですが、茶席でのお茶とお菓子の他、点心と喫茶、拝観料も参加料に含まれていて満足感が高いのです。点心は男性には若干物足りないかと思いますが、女性なら精進料理が色々盛り合わせられている点心は、夕食として満足できる量と味だと思います。 点心を頂いた後は、隠れ家的な喫茶店「いし堀」にてコーヒーを頂きました。こちらの喫茶店では京都の湧き水でコーヒーや紅茶を入れているそうですが、点心の後の美味しいコーヒーというのもなかなか良かったです。
※写真左「この日の点心」、右「隠れ家の様な喫茶店『いし堀』」
さて、19時前に再び高台寺に戻り、いよいよ楽しみにしていた夜咄の茶事が始まりました。実は過去に1月の夜咄には参加した事があるリピーターですが、3月は初めて、しかも当日が3月3日のひな祭りの日でしたので、どんな演出があるのか、実は楽しみにしていました(笑)。 基本夜咄の茶事は、茶事の間は電気を点けず、全てろうそくの灯りの中で進められます。ですが、和ろうそくや燭台の灯りは穏やかな明るさで、時代劇の世界にタイムスリップしたような不思議な感覚を味わえます。 この日のお茶席の主菓子は、予想通りひな祭りのお菓子『ひちぎり』で、干菓子が“貝合わせ”に使う貝の形を模した落雁でした。お茶は梅の花柄のお茶碗で供されて、ひな祭りの華やいだ気分を味わう事が出来ました。 参加者全てにお茶が供され、茶会が終わると電気が一斉に付けられて、意識が現実に引き戻されます(笑)。 この後は、床の間のしつらいや、茶会で使った道具類を拝見させて頂きました。高台寺のお道具の特徴として、『高台寺蒔絵』という伝統工芸手法が多く使われているのが興味深かったです。現代の蒔絵の手法だと、手で触ると凹凸がわかるのだそうですが、高台寺蒔絵は全く凹凸を感じさせない非常に高度な技法で作られているのだそうです。昔の方々の技術力に改めて感嘆です。
※写真左より「和ろうそくの灯り」、中「床の間に飾られた香合」、右「この日使用された茶碗」
お道具拝見の後は茶室を出て、夜間の高台寺境内を見学しました。高台寺のスタッフの方が面白く、わかりやすく境内のガイドをして下さるのですが、夜の高台寺の美しさは昼間とは違う美しさに圧倒されます。読者の皆様にも是非、機会があれば夜間の高台寺散策をお勧めしたいです。 境内の見学が終わると、夜咄の茶事は終了です。私は大満足で宿泊先のホテルに戻り、美しいものをたっぷり一日中見られた幸せのあまり、早々に寝てしまいました…。(実はさっさと寝てしまい、せっかく息子が電話をかけてきたのに寝こけて気が付きませんでした…翌日慌てて電話をかけなおしましたが。)
※上の写真は全て高台寺境内にて撮影した夜景です。
2日目は買い物メインでアドレナリンを上げる!
2日目は7時過ぎに起床して、ホテルの朝食(トーストとコーヒー、ゆで卵の軽いもの)を摂ったのち、急いで荷造りを済ませて8時過ぎにホテルをチェックアウトしました。2日目は半日しか時間が無いので、急いで京都駅付近の空きロッカーを確保して荷物を入れて、散策予定の清水寺周辺エリアへ急ぎました。 清水寺自体は修学旅行で既に拝観済でしたので(笑)、今回は清水寺周辺のお店でお土産を買う事を主目的にしていました。この辺りはどこも風情ある外観なので、古都の風景も楽しみつつお土産を買うのも楽しめました。 まずは自分用に、京都の名店『イノダコーヒ』の支店で、コーヒー豆とイノダグッズ類を購入しました。 その後お香の専門店「松栄堂」にて実母様にお香と猫型香炉を、スイーツ専門店「まるん」にて息子と主人用のスイーツを購入。ここまででほぼ2時間以上使ってしまい、11時前後に京都駅へ慌ててバスで戻りました。 新幹線の発車時刻が12:09でしたので、荷物をコインロッカーから引き上げたり、足りないお土産を駅売店で買い足していたら、結局バタバタと新幹線のホームへ駆け込むことになりましたが(笑)、無事新幹線に乗車できました。こうして1.5日だけの滞在でしたが、満足度の高い京都一人旅を楽しむ事ができました。
※左より順に「朝の東山エリア」、「イノダコーヒの店舗」、「京風スターバックスコーヒー」、「家族へのお土産」
心のデトックスに、一人旅は効果大!
私の家庭では子供が男の子一人という事もあり、『ひな祭り』のお祝いは特にしないし、主人も息子もいわゆる「花より団子」で花見に行けど、ろくすっぽ花を見ていないことが多い(涙)。そのため一人旅だからこそ、今回満開の梅の花をゆっくり観賞出来ましたし、ひな祭り気分も存分に味わえて、眠っていた女子要素が少しは目覚めた気がします(笑)。合わせて、慌ただしい日常だと食事もゆっくり食べる暇がない事も多く、一人旅でゆったり食事を楽しめるのは、気持ちの余裕を取り戻せて良いものだと、しみじみ思いました。 そして一番重要なのが「私は働いているからこういうささやかな贅沢が出来る、またこういう旅行に行けるように家庭も仕事も頑張って両立させるぞ!」と、新たに頑張る気持ちが湧いてくる事ですね。 今回家族が一人旅を許してくれたもの「ママはいつも仕事で疲れていてもご飯を作ってくれるし、忙しくても子供の習い事の送迎や、宿題も見てくれる。たまには家事も育児も休む週末もいいものだよ」と快く送り出してくれた主人の心遣いや、「僕はパパがいるから大丈夫。もうお兄ちゃんだからね。ママもたまにはいっぱい楽しんできてね」と、成長した息子が少しずつ母親から離れ始めたところもありますね(嬉しいんだか悲しいんだか)。 でも離れてみて、旅先で彼らを思い出す時、やっぱり自分の家族は皆素敵で大好きだ!と実感し、ますます家族に愛情が沸きます。そういう部分でも働くお母さん達にこそ、一人旅はお勧めしたいですね。 なお、これは個人的な感想ですが、京都は比較的おひとり様ツーリストも多く、交通の便も良いので、週末一人旅にはお勧めの場所だと思います。難点はややコストがかかるところでしょうか(汗)。 もし「家族の理解」、「お休み」、「旅行資金」の3拍子が揃ったら、是非働くお母さんでも一人旅を体験してみて欲しいですね。きっと心のデトックスが出来ると思います。 CHANTOママライター/トヤマチエコ