共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

月々1000円台からスマートフォンで始められる保険「スマ保険」や「ひまわり認知症予防保険」など、お客様の視点に立った使いやすい生命保険を提供している太陽生命。きめ細かなサービスは主婦層やシニアにも定評があります。社内にも、女性一人ひとりのキャリアアップを後押しする仕組みがあります。

 

それは、女性の活躍推進のための取り組み。10年以上前から仕事と生活の両立支援に着手し、女性が働きやすい環境づくりを進めてきました。積極的に女性を管理職に登用し、幅広い人材育成にもチャレンジするなど、現在では管理職の5人に1人が女性なのだそう。どんなふうに制度を活用しながら女性たちを応援しているのか、人事部の壷井さんに伺いました。

管理職の5人に1人が女性。10年以上前から仕事と生活の両立支援を推進 

テーマ: 女性の活躍推進 導入開始日: 2010年頃より実施中 対象者:女性従業員

 

 

太陽生命保険株式会社 人事部 壷井萌菜さん

2018年に太陽生命保険株式会社入社。導入研修後、明石支社へ配属。支社での現場経験を経て、2020年3月より、内務員の教育を行う人事部内務教育課へ。現在、新入社員への研修等を通して内務員の教育に携わる。

 

  

——太陽生命では、女性管理職の割合が2017年19.1%、2019年20.3%と上昇しています。その背景には女性が活躍しやすい環境をつくるための取り組みがあると伺いました。具体的にどんなことをされてきたのでしょうか。

 

壷井さん(太陽生命):

太陽生命では、T&D保険グループ

(※)の一員として、「多様な人材が働きがいを感じながら能力発揮できる企業風土づくり」に取り組んできました。特に注力したのが、仕事と生活の両立支援制度と、女性のキャリア形成の機会拡充です。

(※)T&D保険グループ:太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の生命保険3社をはじめ保険及び保険関連事業を展開する企業等で構成。

 

女性が長く健康に働きがいをもって能力を発揮するためには、総労働時間の縮減と各種休暇取得がしやすい環境整備が不可欠です。

 

そのための施策として、10年以上前からIT技術を活用したペーパーレス化、キャッシュレス化を進めて事務的な業務を大幅に削減してきました。その結果、法定時間外労働が月平均1.7時間(2019年度)となるなど、定時終業が可能な職場環境を実現しました。

 

 

——定時で帰宅できる職場環境になったら、従業員は終業後の時間が有効に使えて嬉しいですね。

 

壷井さん(太陽生命):

そうなんです。定時終業だけでなく、有給休暇が取りやすい環境づくりも進めました。人事部門が中心となり、年間取得目標を16日に設定して全社で取り組んだところ、有給休暇平均取得日数が17.3日(2019年度)にアップしたんです。 

 

同時に、勤務体系にも様々な制度を導入しました。コアタイムのない「スーパーフレックス制度」や「在宅勤務制度」、サテライトオフィス勤務の推進など、従業員自身が生活に合わせて柔軟な勤務できるようにしています。

 

さらに、女性が出産・育児等のライフイベントに備えるための子が3歳に達するまで取得できる育児休業や短時間勤務制度はもちろん、不妊治療のための「通院休暇」や、配偶者の転勤時に勤務地が変更できる「ファミリー転勤制度」もあります。

 

——女性のキャリアはライフイベントの影響を受けることが少なくありませんが、こうして制度が整っていると先を見通しながら長く働けそうです。

 

壷井さん(太陽生命):

近年は、増加する介護の問題への対応にも取り組んでいます。年間最大30日取得できる「介護休暇」、また最大3年間取得できる「介護休業」、さらには介護や治療をしながら働き続けることのできる制度として「週3日、週4日勤務制度」も新たに導入しました。 

 

管理職への早期登用など女性のキャリアアップを応援

——ライフイベントや時代にあわせた制度の導入と同時に、女性が積極的にキャリアアップできる土台も作られてきたとうかがいました。具体的に教えてください。

 

壷井さん(太陽生命):

まず、意欲と能力がある女性が活躍できる環境整備を進めるとともに、新卒採用において女性を積極的に採用しています。2018年以降は女性が5割を超えています。

 

また、人材育成の一環として、入社してから早い段階で責任ある仕事をまかせてきました。総合職は最速で、支社では6年目、本社では10年目に管理職に登用します。

 

——支社で6年目ですか。それは大きなやりがいにつながりますね!

 

壷井さん(太陽生命):

転居を伴う転勤のない営業・サービス職員として働く一般職は、業務の専門性を高めて入社15年目から管理職に登用しています。支社・本社問わず、活躍できるフィールドを準備しています。

 

早期に管理職に登用し、20代のうちに本支社間での人事ローテーションも行うなど、入社後早い段階からマネジメント力の強化や幅広い業務経験を積んでもらっています。

 

——総合職の社員が入社2年目で支社係長に登用されることは、次に続く女性たちにもいい刺激になりますね。ほかにも研修制度や人材交流など、きめ細かなキャリアアップ支援があるそうですが、どんなことをされているのでしょうか。

 

壷井さん(太陽生命):

はい。まず入社1年目には、年齢の近い先輩社員がチューターとなり、OJTを通してさまざまな知識や経験を積んで業務の幅を広げていきます。総合職については、入社年次別研修のほか、係長研修、管理職候補者研修等を実施するなど、教育機会を拡大しています。

 

次に一般職についてですが、支社では営業・サービスのプロフェッショナルとして活躍するための職務別研修やFP試験等の取得を推奨しています。本社では部門ごとに専門の教育計画を策定し、各種研修の実施、FP試験や専門資格の取得を推奨しています。

 

加えて、職種を問わず、女性管理職候補者研修および女性管理職研修の定期的な開催や、社内留学、グループ内の人材交流、海外トレーニーへの派遣等を行い、業務の幅や視野を広げ、さまざまな分野で活躍できる人材を育成しています。

 

——これまで多くの取り組みをされてきた太陽生命ですが、どんな効果を感じていますか?

 

壷井さん(太陽生命):

女性の管理職比率は、202010月時点で20.5%と、現時点で2019年度の20.3%を上回っています。また、女性の平均勤続年数は209か月となり、男性社員(1811か月)を超える水準まで向上しました。

 

——確実に成果を出されていますね!ぜひ女性管理職になられた方の声を聞かせてください。

 

壷井さん(太陽生命):

女性初の取締役となる二見取締役を紹介します。二見取締役は生命保険会社で重要な業務の一つである資産運用分野でのキャリアを長く積み、管理職に登用された後はガバナンス、コンプライアンス、法務等の分野でキャリアアップされました。

 

太陽生命 取締役 二見陽子さん

 

二見取締役(太陽生命):

キャリアアップの過程で、会社の福利厚生制度には本当に助けられてきました。現在、大学1年の娘がいるのですが、20年ほど前から産休・育休を取得しやすい雰囲気がすでにあって、育児についても上司や職場の配慮や理解がありました。

 

キャリア形成面の制度としては、さらに上の人事ポジションを目指すためのローテーション、教育、職場環境の整備など様々な面からのフォローがありました。そういった環境を作ってくださった会社や周囲に感謝しています。

 

——制度を活用しながら、着実にキャリアアップされてきたのですね。役員になってからはどんなことを大切にされていますか?

 

二見取締役(太陽生命):

広い視野で迅速な判断、業務執行を行うようにしています。また後に続く女性の参考になるような、良い影響を与えられるような業務遂行を心掛けています。

 

太陽生命ではずいぶん前から仕事と生活との両立を支援する雰囲気がありました。それに加えて、経営の方針として「女性活躍」が推進されていることで、意欲がある女性が活躍できる環境が整っているので、女性社員にはぜひ挑戦してほしいと思っています。

 

——最後に壷井さん、いま課題に感じていることはありますか?

 

壷井さん(太陽生命):

女性の活躍推進に取り組み始めてからまだ10年なので、キャリアを築いている段階の女性従業員が多く、ロールモデルとなる女性管理職、特に支社長、部長などの上位管理職が多くないのが実情です。いまはその点に課題感を持っています。

 

ただ今後も、充実させてきた制度と働きやすさを追求した職場環境を活かしながら、女性が管理職として能力を発揮できる取り組みを続けていきたいです。そして、若手からシニアまで、すべての従業員が活躍できるよう応援していきたいと思っています。

 

 

女性がライフイベントをしなやかに越えながらキャリアアップを支援する体制も作り、確実に成果を出している太陽生命。産休育休を取りやすいなど、会社の応援態勢を感じられる雰囲気が以前からあったことも、社員が前進できる源になっているのではないでしょうか。

 

【会社概要】 
社名:太陽生命保険株式会社
従業員数:内勤職員2,333名、営業職員8,071名(2020年3月末)
創業年月:1893年5月
業種:生命保険業
事業内容:生命保険業務全般

 

取材・文/高梨真紀