ぬか床をかき混ぜるのが辛い季節になってきました。夏の間は冷蔵庫に入れていたぬか床、そろそろ常温管理に移行しなきゃ手がかじかんでしょうがない。

 

我が家には3つのぬか床があり、ひととおりかき混ぜるのにもまあまあ時間がかかるので、毎晩家族が寝静まった後にぬか床の世話をするのが私の日課になっています。

 

ぬか床は生き物、とはよく言ったもので、手のかけ方であんなに味が変わるものってそうそうないんじゃないかと思います。あの人(ぬか床)たち適当にやると本当すぐ拗ねるよね。ぬか床以外にも育てなきゃならない命をふたつあずかっているので、私のぬか床管理はそこまで精度の高いものじゃないんですが、それでも毎日そんなめんどうなことを続けている理由…

 

それは私がろくに料理をしないからです。

 

仕事が忙しい日は真っ先に「料理」を捨てる!

料理は好きですが、打ち込めるほどの情熱があるわけでもなくセンスもない。私の作る料理はその日に食べたい食材を焼くとか蒸すとかそのくらいですし、仕事が忙しければ数あるタスクの中から真っ先に料理を捨てます。

 

レンチン最高!最近のお惣菜って美味しい!今日は出前でもいいんじゃない!?

 

嬉しいことに夫も同じ考え。「忙しい最中に手間をかけて料理して疲弊するくらいなら買うなり頼むなりするべき。俺だってやりたくないし(重要)、子どもたちが望んでいるのは親の苦労ではなく楽しい食卓だ」などと背中を押してくれるので私は罪悪感なく外注でき、そんなときにそっと出すのが自家製のぬか漬けなのです。

 

ぬか漬けは超お手軽な“おふくろの味”

買ったお惣菜だらけの日もジャンクな食事の日も一品だけおふくろの味を混入してやろうという私の目論見といいますか、どうせ漬けっぱなしで一品出来ているわけですし。

 

おふくろの味がまったくないというのもね…っていう、要するに自分の気休めです。

 

根を詰めて料理をする手間が省けるなら、毎晩ぬか床をかき混ぜるくらい大したことじゃありません。自家製のぬか漬け、美味しいですしね。

 

ちなみにぬか床が3つもあるわけは、もともとひとつだったぬか床が「普段使い用・古漬け用・休憩中」の用途になんとなく分かれていっただけの話で、なんとも適当な理由だったりします。

 

 

文・イラスト/横峰沙弥香