「2020年の年末から2021年の年始にかけて、最大で17連休になる?!」 …10月下旬、そんなニュースが流れて話題になりました。

 

この過去最大級の連休がもし実現した場合、育児中の家庭にはどのような影響があるのでしょうか?

 

今回は全国のママ&パパ50人に緊急アンケートを実施。その結果をもとに考えてみました。

 

正月休みが17連休になるかもしれない理由とは?

10月23日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、各企業などに向け、以下のような提言を出す方針を固めたことがわかりました。

 

  • Go To トラベルで人の移動が活発になり、東京の感染者も増えているため、年末年始休みの帰省や旅行で感染拡大が心配される
  • そこで、例年なら12/29~1/3を休みとするところを、2020年~2021年の年末年始は12/26頃から1/11まで、分散もしくは連続して取得してはどうか

 

仮に12月26日(土)から1月11日(月・祝)まで連続して休んだ場合、最大17連休になる…ということですね。

 

週明けの10月26日には、大企業を中心に上記の要請が行われたということです。

 

ただ、これはあくまでも「提言」「要請」であり、国民の休日のように法で定められたわけではなく、現時点では「最大で17日」「実現できるのであれば」…という話です。

 

学校や保育園・幼稚園がどうなるのかもまだ発表されていません。

 

ただ、小中高に関しては、1学期の全国的な休校でカリキュラムが遅れていることや、各校や自治体で入試の日程が近いこと、インフルエンザでさらなる学級閉鎖が起きる可能性などを想定すると、これ以上冬休みを増やすことは考えにくい…というのが大方の見方となっています。

 

全国の子育て世代に緊急アンケート

今回のニュースを聞いてどう思うか、子育て世代に緊急アンケートを実施しました。

 

全国の0歳~小学6年生のお子さんがいるママ・パパ50人に、もし年末年始が17連休になったら「歓迎」または「困る」いずれかを質問してみたところ、回答は以下のような割合に。

 

 

 

 

50人中、「困る」と答えた人は23人、「歓迎する」が27人で、およそ半分ずつですが、やや歓迎の人が多い結果となりました。

 

それぞれの理由や意見をみていきましょう。

 

ママ&パパが17連休を歓迎するのはこんな点!

会社員など、ほぼ通常どおりの収入が見込める人にとっては、17連休はやはりメリットが大きいようです。

 

「夏休みは心配で帰省できませんでしたが、GoToトラベルが広まって移動しやすくなったので、久しぶりに両親やひいおばあちゃんに子どもの顔を見せたいです。長期連休で人が分散して、新幹線や神社の混雑が緩和されれば安心ですよね」(Kさん・43歳・1年生のママ)

 

「3月の休校は外にも出られず窮屈な日々。夏休みも短縮され、子どもたちものんびりできる時期がずっとありませんでした。年末年始が長期連休になれば、三が日を外してお出かけしたり近所で遊んだりと休みを満喫できそうです」(Aさん・37歳・4年生と2年生のママ)

 

と、混雑を避けつつ、久しぶりに「休みらしい休み」を過ごせそう…と期待する声が多く見られました。

 

「夫が休みになると、子どもと3人で一緒にいられる時間が増えるので歓迎です。私が専業主婦でママ友がまだいないため、日中は訪問してくれる義理の両親しか話し相手がおらず、子どもも他者と触れ合う機会が少ないので、夫がいてくれるのはありがたいし、車でのお出かけも可能になります」(Kさん・32歳・0歳児のママ)

 

と、親子で過ごせる時間が増えるといいな…と願うママも。

 

連日忙しい日が続いているというパパからは、

 

「普段から残業やら休日出勤が多く子供との時間がなかなか作れないので、もし年末年始の連休が拡大されるのであれば、これまでの分を取り返すべく、一緒に有意義な時間を作ってあげたいと思っています。絵本を読んであげたり、リビングで映画を一緒に観たり、宿題も見てあげたい」(Hさん・39歳・1年生と2歳児のパパ)

 

という愛情あふれるコメントも寄せられました。

 

中学受験を控えたお子さんのパパからは、

 

「ちょうどインフルエンザの流行期でもあり、小学校が休みになってくれれば正直助かります。子ども本人に受験勉強のために小学校を欠席しなさいとは言いづらいので…。塾もオンライン授業なので、最後の追い込みができればと実は期待してます」(Uさん・47歳・6年生のパパ)

 

という本音もチラリ。

 

ただし、おおむね「歓迎」という人たちからも「食費に暖房費・お出かけ費用など、出費がかさむのは今から頭が痛い…」という声は共通して出ていました。

 

17連休で「困る人」の切実な事情とは

いっぽう、「17連休は困る!」という人たちからは、おもに次のような点が懸念されています。

 

収入・経済面

  • 時給や日給で働いているので、17日も休みになったら、月収が激減する
  • 店を閉めたり会社を休業にすると収益が不足して、経営が成り立たない
  • こちらは営業していても、取引先(官公庁や大企業)が休んだら結局売り上げにならない

 

など、収益や収入に関するものがもっとも多く見られました。

 

収入減については子どもの有無に関わらない問題ですが、やはりアンケートでも非正規雇用のママ・パパやシングルで子育てをしている人・個人でお店を営んでいる人で「困る」という回答が多くなっています。

 

病院や保育園は?

お子さんがいるママ・パパとしては「子ども関連の施設がいつからいつまで休むのか」も気になるところ。

 

「もし、17日間も病院が休みになり、救急しか開いていないとなると心配ですね。かかりつけの待合室は、感染症が疑われる場合は個室の待合室に入りますが、救急はみんな一緒なので…」(Eさん・45歳・5歳児のパパ)

 

テレワークや家で仕事をする人からも「保育園しだい」という意見が多数でした。

 

「もし、保育園がまるまる17日間冬期休暇となってしまうと、自宅で子供の面倒をみながら仕事をせざるを得なくなり、納期などが間に合うかどうか正直困ります。が、おそらく保育園は完全に休みになることはないと思うので…それであれば歓迎かな」(Nさん・37歳・1歳児のママ)

 

エッセンシャルワーカーはどうなる?

また上記のような「できるだけ休まないでほしい場所」で働く人にとっても、17連休がどうなるのかは大きな問題です。

 

「夫婦とも、いわゆるエッセンシャルワーカーなので、学校や学童17連休になってしまうとどちらかが休みを取らざるを得ませんが、年末は特にどちらも有給が残っていませんし、代替人員の手配もできるのかどうか。春の休校時のように休業保障があるかどうかもわからないし、欠勤となると人事評価査定が下がるので金銭的にも不安です」(Iさん・47歳・2年生のパパ)

 

「夫婦でレストランを経営しています。今年はコロナの影響で特に春夏の売上が激減したので、17連休なら人手を見込んでずっと開店しておきたいですが…その間、子どもをほったらかしにしておくのもしのびないし、悩ましいですね」(Yさん・36歳・3年生のママ)

 

子どもの健康も心配…

子どもたちの体調や生活習慣を心配する声もありました。

 

「休みが多すぎると、どうしても時間的にも気分的にもだらけてしまいますし、先生や友だちと一緒に勉強する方が自宅学習よりもやはり集中できて効果が高いと感じています」(Sさん・47歳・4年生と4歳児のママ)

 

「仕事の都合で旅行の予定も入れられず、帰省する先もないわが家は、17日もあっても子どもたちもゲームばかりして過ごすことになりそう。つまらないだろうし運動不足や視力の低下も心配です」(Rさん・36歳・6年生と5年生のママ)

 

「うちは田舎でほとんど感染者がいないんですが、近郊にはそれなりに観光名所などもあり、17連休で観光客が増えると感染がわっと広がるんじゃないかと怖いです。子どももあまり外に出させたくないですが、どう伝えようかと」(Tさん・35歳・5歳児と3歳児のママ)

 

「全国的に小学校や保育園でのクラスターはほとんど発生していません。長期連休になって混雑する遊び場に子どもを連れていくよりも、いつもの学校や園で勉強したり遊んだりしてくれるほうが、むしろ親としては安心なんですが…」(Jさん・46歳・4年生と5歳児のママ)

 

おわりに

「年末年始休みが17連休」という過去にないほどの長期連休で、今回紹介した以外にも、さまざまな影響が予想されます。

 

場合によっては、パート代が生活保護費を下回り、今までギリギリで続けてきた勤め先を退職するきっかけになってしまったり、サービス業のママやパパがいつも以上に忙しくなり、家族で過ごせなくなってしまうなどの可能性も。

 

この年末年始は、いつも以上に、そういった個々の「困りごと」をクリアできるような企業や社会のきめ細かいサポートが望まれます。

 

文/高谷みえこ

参考/新型コロナウイルス感染症対策分科会「年末年始に関する分科会から政府への提言」 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/teigen_12_2.pdf