スマホでガチャする子ども

大きな買い物をしていないのに、突然、クレジットカードに数万円もの請求。原因は、子どものスマホゲームの課金だった。今、そうしたスマホゲーム課金が社会問題になっています。ゲームをやめさせればいい話なのでしょうか? 家計再生コンサルタントの横山光昭さんに、「ゲーム課金とお金」について聞きました。

  

ゲーム課金もお金の使い方の学びになる

「スマホゲームの課金によって、何十万円もの高額請求を受けた」というニュースを目にすると、子どもに課金ゲームをやらせたくなくなる心情はよくわかります。

 

しかし、スマホゲームの課金を完全に禁止する必要はない、と私は考えています。好きなものを極端に禁止すると、その反動で、子どもが心を閉ざす可能性もあるからです。

 

ゲーム課金も、決められた「小遣いの範囲内」でやっていれば、問題はありません。小遣いをすべてゲームに使ってしまい、他のことができなくなれば、それはそれでお金の勉強になります。

 

共働きで寂しいだろうからと、お金やカードを自由にさせる家庭もあるようですが、要は勝手にお金を大量に使わないよう、親が手を打つことが大事です。そのためにも、まず、スマホゲームの課金のメカニズムについておさらいしましょう。

「ガチャ」中毒で課金額が止まらなくなり

ロールプレイング、パズル、スポーツ、アイドル育成、スマホゲームはさまざまな種類がありますが、最近のゲームは無料で遊べるものがほとんどです。

 

ただ、多くのゲームでは、「課金をすること」で、よりゲームを楽しめる仕組みが用意されています。その課金の代表的な方法であり、高額な課金につながりやすいのが、「ガチャ」です。

 

これは、ゲーム内で使えるレアなアイテムやキャラクターが当たるガチャガチャのようなもの。1回ガチャを回すと数百円、一気に10回連続でガチャを回せるものだと2000円以上かかるものもあります。

 

超レアなキャラクターだと当選確率が1%以下のことはざらで、めったに当たりません。だから、どうしても欲しい人は、何回もガチャを回すハメになるのです。

 

すると、お金を湯水のように使ってしまいます。毎日続けていけば、気づけば数十万円の請求となるわけです。これに加えて、武器などのアイテム購入をすれば、ますます出費がかさんでいきます。

 

ただ、子どもがお金を湯水のように使えるのは、親の問題。そのような支払いができる設定にしているからです。そこにメスを入れれば、高額請求は防げます。

課金を抑える2つの有効な手段とは?

スマホゲームの課金の代金を支払う主な方法は、「キャリア決済(通信料金の支払いに合算 」「クレジットカード」「プリペイドカード」の3つがあります。

 

そのうち、キャリア決済やクレジットカードだと、際限なく使えてしまいます。課金をするためにパスワードが必要な場合でも、生年月日のような簡単なパスワードだと子どもが見破ってしまい、 勝手に使ってしまうのです。

 

高額請求を防ぐ最も良い方法は、支払い手段にプリペイドカードを使うことです。

 

iPhoneの場合はiTunesカード、Androidの場合はGoogle Playカードがコンビニや家電量販店などで売っています。これを購入し、その限度内でプレーすればOKとするのです。そうすれば、欲望のままにたくさんお金を使うことは避けられるでしょう。

 

また完全に課金をやめさせるならば、「ペアレンタルコントロール」を利用する手もあります。これは、スマホで勝手に課金しないよう、親などが設定できる機能です。こうした手を上手く使えば、高額請求の不安は解消できるはずです。 

 

いずれの方法を選ぶにしても重要なのは、親が一方的に決めるのではなく、子どもとよく話し合った上で決めること。「スマホゲームの課金なんて絶対ダメ!」と問答無用でやめさせると、子どもの心に不満が残ります。子どもの気持ちを尊重しながら話し合えば、納得してくれるはずです。

 

監修/横山光昭  取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ