段階を経て、オリジナルの社内制度や研修を増やす

──まずは制度を作り、社員への周知に努めていったんですね。今の森永乳業にはたくさんの制度や研修がありますが、これらはどのように整備していったのでしょうか?

 

川口さん:

社内人員構成のボリュームゾーンに育児中の社員が増えてきたこともあり、育児支援制度は徐々に拡充しています。女性が自分の働き方に悩むケースも多くなることから、関連セミナーも増えていきました。10年からはリーダーシップやマネジメントを主テーマとした「女性リーダー研修」、16年からは性別問わず参加可能な「仕事×子育てパワーアップセミナー」を毎年実施しています。

 

また、ダイバーシティ&インクルージョン推進のKPI(目標指標)も設定しています。例えば新卒採用時の事務営業職・研究開発職計の女性比率を17年度時点の40%から27年度までに50%に増やす、女性管理職数は17年度時点で38名を27年度には100名にするなどのKPIがあります。

 

──最初から全て盛り込むのではなく、一つ一つ時間をかけて丁寧に整備していったのですね。他にも森永乳業オリジナルの取り組みはありますか?

 

川口さん:

社内掲示板「子育てサポートナビ」上でどんな時にどの制度が利用できるかをQ&A形式で公開するほか、育児支援制度が一覧できるポスターを作成しています。背景としては社員やその家族にも使える制度がたくさんあることを認知してもらい、より活用してもらいたい狙いがあります。

 

森永乳業の育児支援制度ポスター

 

他には、18年から始めた「イクボス大賞」という社内表彰制度もオリジナルです。それまで社内であった表彰制度の「社長賞」は、大ヒット商品を生む、工場での生産効率を上げるなど業績や功績に対して授与されるものでした。でも「イクボス大賞」は、働きやすいようにサポートしてくれた、部下のキャリアと私生活を応援してくれるなど、ワークスタイル変革を実践しながら仕事での成果もあげている上司を部下が推薦し、大賞は社員投票形式で決めます。働きやすい職場環境を作るなど、マネジメント事例に対して表彰することにしたのです。

 

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