寝不足が続くと太ったり、免疫力が落ちるデータも…
——睡眠不足は太りやすくなるということも聞いたことがあります。これは本当ですか?
西川さん:
これも世界中で研究され、その信憑性が明らかになってきています。2005年にアメリカのコロンビア大学で行われた研究によると、32〜59歳の男女8000人を対象に調査を行い、平均7〜9時間睡眠の人と比べ、5時間睡眠の人は50%、4時間以下の人は73%も肥満率が高かったという報告も発表されています。
——起きているだけで太りやすくなるなんて怖すぎます!活動時間が長ければ、反対にやせそうな気がしますが、どうしてなのでしょうか?
西川さん:
睡眠時間が短いと、「グレリン」という食欲増進ホルモンの分泌量が約15%増え、反対に食欲を抑制する働きのある「レプチン」というホルモンが約15%少なくなってしまうんです。
その結果、長く起きている分のエネルギーを確保すべく食欲が増してしまいます。体はすぐにエネルギーに変わる食べ物を確保しようとして、脳に「糖質」を取るように働きかけるのです。夜遅くまで起きていると、つい甘いものやスナック類などに手が伸びてしまうのはこのため。しかも夜はエネルギーを蓄えやすい時間帯でもあるので、少しのつまみ食いでみるみる太ってしまうんですね。
——睡眠不足の弊害は、ほかにどんなことがありますか?
西川さん:
睡眠不足は免疫力が低下するので、これからの季節は特に風邪に気をつけてほしいですね。睡眠中に免疫細胞の修復は行われますが、睡眠時間が足りていなかったり質が悪かったりすると、細胞の修復を十分に行うことができず、風邪をひきやすくなってしまいます。
2014年に発表されたカリフォルニア大学の研究では、睡眠時間が6時間以下の人は、7時間以上寝ている人よりも、風邪ウイルスに感染する確率が4倍以上にもなるという発表がありました。
さらに恐ろしいことに、不眠状態が長く続くと、寿命を早めてしまうリスクも示唆されています。アメリカで30〜69歳の男女約5000人を対象に行われた調査では、7〜8時間の睡眠をとっている人に比べ、6時間以下の人の9年後の死亡リスクが、男性で1.8倍、女性では1.6倍になるという研究結果が報告されています。