35歳を境に睡眠の質は急降下。いったいなぜ?

——早い時間に寝ても夜中に目が覚めてしまうこともあると思うのですが、睡眠時間さえ十分にとっていれば、体に悪影響は出ないのでしょうか?

 

西川さん:

睡眠の質もとても大切で、いったん寝始めたら朝までぐっすり眠るのが理想です。ただ、睡眠の質は35歳頃を境にガクンと低下してしまいます。夜間に目が覚めてしまうのは、まさに睡眠の質が落ちている証拠です。

 

これは、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌量が、35歳頃までにピーク時の4分の1まで減るためです。私自身、35歳を境に急に睡眠の質が落ちた実感があります。ちょうどこの頃は、仕事や人間関係でも特に悩みもなく、生活の変化なども全くなかったので、睡眠の質だけが変わったことをとても不思議に思っていました。

 

——西川さんも眠れなくて悩んでいた時期があるんですか?

 

西川さん:

今の会社に転職して数年後に、仕事も人間関係も思うようにいかなくなりました。ストレス解消のために毎日遅くまで飲み歩き、睡眠時間は毎日3〜4時間。そのせいで仕事のパフォーマンスが下がってさらにうまくいかなくなる…。そんな負のスパイラルにハマって抜け出せない時期がありました。

 

この頃の自分を振り返れば、常にぼ〜っとして判断力が鈍り、その割になぜかいつもイライラして、理由のない不安感が募っていました。

 

私がそこから抜け出せたのは、真剣に睡眠と向き合い、睡眠によいとされることはすべて試して、本当の快眠法を見つけられたから。自分が体験したからこそ言えるのは、お酒や甘いもの、ショッピングなどは、いっときのストレス解消法にしかならないということ。

 

それに比べて、睡眠はストレスを消す効果があると医学的に認められています。ストレスの元を断ち切るためにまず必要なのは「十分な睡眠をとること」なので、皆さんに、もっともっと睡眠と向き合ってほしいなと思います。

 

毎日健康で自分らしく生きるために、眠ることへの優先順位を上げることが必要不可欠といえそうです。次回は、忙しく働くママたちでも手軽にできる、とっておきの睡眠不足の解消法を教えていただきます。

 

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PROFILE 西川ユカコさん

昭和西川株式会社 代表取締役副社長。睡眠サービスコンソーシアム理事。睡眠改善インストラクター、セロトニントレーナー、温泉入浴指導員。学習院大学卒業後、ハースト婦人画報社に10年間勤務。その後、家業である昭和西川に転職し、企画部門や管理部門を経験した後、現職。世界中の科学的データを参考にしながら、自身を実験台にしてあらゆる快眠法を検証し、睡眠に対する幅広い見識に信頼が寄せられる。著書に「世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠」(SBクリエイティブ)。「東洋経済オンライン」で睡眠記事を連載中。

 

文/上野真依 イラスト/小幡彩貴