調理現場でのやりがいか安定した給与か

帰国後の社会人生活は充実していたが…

 

──帰国後はIT企業に就職されていますよね。ここを選んだ理由はなんですか?

 

およねさん:

調理以外の経験も積めそうなところに興味をひかれて入社しました。実際この会社では、食材の発注からメニュー作成、社内報にのせるレシピの提案、社員さんの健康相談と、様々な経験をさせてもらいました。

 

日々刺激的でやりがいも感じていましたが、働いて3年くらい経った頃から、調理はアルバイトの人に任せ、私たち社員は栄養指導などのデスクワークをする方針に変わっていったんです。私はデスクワークが苦手なので、「もっと現場で料理を作りたい」という気持ちが日に日に増していきました。

 

また、私は仕事を早く終わらせて早く帰りたいタイプなのですが、長時間労働が評価される会社の風土にすごく窮屈さを感じていて…。「ダラダラ働いてなんの意味があるの?」と思ってしまい、常にもやもやしていましたね。

 

ただ、このとき勤めていた会社の給料が管理栄養士の相場よりも比較的よかったので、転職するとなると給与ダウンを覚悟しなくてはならず、なかなか踏み切れずにいました。そんなときシェアダインの募集を見つけ、「気晴らしに料理を作ってお小遣いをもらえるなんて!」という軽い気持ちでシェアダインに登録してみたんです。

 

──やはり給料面が転職のネックになっていたんですね…。最初は副業としてはじめたとのことですが、実際に働いてみてどうでしたか?

 

およねさん:

料理を作るのは楽しいし、お客様に喜んでもらえるのが嬉しくて、すぐに夢中になりました。そのうちリピーターのお客様が増えてきたので思い切って会社を退職し、シェアダインの仕事1本に絞って、本格的にはじめることにしたんです。

 

──リピーターは自然と増えていったんですか?

 

およねさん:

そうですね。ただ、最初の頃は他のシェフのレビューをたくさん読み、何をしたら喜ばれて、何をしたらダメなのかを徹底的に研究しました。あとは、海外で学んだ“お客様に合わせた自由なおもてなしの心”が活かされているかもしれません。

 

この仕事をしていて思うのは、お客様の求めるものは一人一人全然違うということ。献立や味付けはもちろん、コミュニケーションの取り方の好みもお客様によって異なります。型にはまった対応ではなく、お客様に合わせたサービスを心がけています。

 

──相手に合わせたサービスが、リピート率ナンバー1を誇るおよねさんの人気の秘訣なのかもしれません。最後に今後の夢や目標を教えてください。

 

およねさん:

今のように自由に働けて、頑張ったら頑張った分成果につながるワークスタイルが自分に一番合っているので、出張シェフとしてもっと磨きをかけていきたいと思っています。いろいろと悩んだ時期もありましたが、管理栄養士の資格と経験がなければ今の仕事にも巡り合っていないと思うので、管理栄養士になってよかったなと思います。

 

いつかは大好きな海外で、今と同じように出張料理をしたり、日本食の料理教室を開いたりできたらいいですね。

 

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現状に甘んじることなく新しい挑戦を続けたことで、自分のやりたいことができる場所を見つけたおよねさん。今後の活躍にますます期待が高まります。次回は、およねさんに時短でおいしいプロの料理テクニックを伺います。

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PROFILEおよねさん

管理栄養士。出張料理サービス会社シェアダイン所属シェフ。女子栄養大学卒業後、委託給食会社に就職し、社員食堂や保育園に勤務。その後、2年間の海外留学を経て、IT企業に就職。調理、レシピ開発、栄養指導などを担当する。現在は、約800人の登録シェフの中で、リピート率、活動件数ともにNo.1を誇り、予約の取れない人気シェフとして活躍中。2020年9月には、初の著書である「シャアダイン人気No.1およねさんの昔ながらの作り置き」(宝島社)を発売。

 

シェアダインとは…

栄養士や調理師などの資格を持つ食の専門家が、家庭に出張して数日分の料理を作り置きしてくれる、ホームシェフのサブスクサービス。800人いる在籍シェフの中から、住まいや希望のメニューに合わせ、最適なシェフを選ぶことができる。単発利用か月に2〜4回の定額サービスかを選択でき、シェフの指定なしのフリープランの場合、1食645円(交通費込み・食材費別)から利用可能

※現在の対応エリアは、一部地域を除く、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、愛知県、岐阜県、新潟県、大阪府、京都府、奈良県、兵庫県に限られます(2020年9月時点)。詳しくは、シェアダイン のホームページをご確認ください。

 

取材・文/上野真依 撮影/寺澤太郎