共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
高度なソフトウェア開発やビッグデータ分析など独自のIT技術で企業の課題を解決し、新しい価値を創り出しているアクロクエストテクノロジー。事業と同じように革新的な制度がここにはあります。
それは社長を含めた役員と社員が同等に意見を出し合う会議。経営方針やルール、制度などを全員で決めているのです。組織価値経営部のシニアマネージャとして働きやすい職場づくりに携わっている鈴木さんに話を伺いました。
社長も新入社員もみんな平等なアクロクエストテクノロジーの全社員会議「Meeting of All Staff」
制度名称:全社員会議「Meeting of All Staff」 導入開始日:1991年3月から実施中 対象者:社員 今までに利用した人数: 全社員
教えてくれたのは…
アクロクエストテクノロジー株式会社
組織価値経営部シニアマネージャ 鈴木達夫さん
——データ関連の技術革新を行うアクロクエストテクノロジーでは、社員全員が決定権を持つ全社員会議「Meeting of All Staff」を1991年の創業時から行っているそうですね。
鈴木さん(アクロクエストテクノロジー):
はい。当社では、会社を動かす仕組みや制度などを経営者だけではなく、全社員で話し合って決めています。そのための会議が「Meeting of All Staff(通称:MA)」で、毎月1回、社長から新入社員まで集まってとことん議論します。
——社長も新入社員も同じ立場で議論しあう場は珍しいように思います。どんなふうに実現されているのでしょうか。
鈴木さん(アクロクエストテクノロジー):
「MA」で議論したい議題があれば事前にPowerPointにまとめて提出します。議長団といわれる社員たちが「MA」に取り上げるべきかを検討し、採択されれば、「
議論で決まった取り組みであっても、「3か月ルール」という制度のもと3か月間のチャレンジを経て見直したり、効果を感じられなかった場合は廃止したりします。毎月いくつも新たな取り組みが生まれますが、同時になくすものもあるので、会社にとって本当に必要なルールだけが残っていくんです。
——全社員が自分の希望や理想を実現しやすい場をつくっているのですね。それにしても、なぜこの会議を作られたのでしょうか。
鈴木さん(アクロクエストテクノロジー):
もともと社長と副社長が、「言いたいことを言ったら解雇された」という経験をしています。そうではなく、誰もが意見を自由に言える会社を創ろうと、アクロクエストテクノロジーが設立されました。この「MA」も創業当時から続けられています。
仕事のやりがいにもつながっていると実感
——約30年前から育てられてきた会議なのですね!この制度だからこそ生まれた効果も大きいように思います。
鈴木さん(アクロクエストテクノロジー):
そうですね。「『MA』があるから入社した」、「『MA』があるから仕事にやりがいを感じている」と言ってくれる社員がたくさんいます。それに、ルール一つひとつを、みんなが同じ場に集まって議論しているので当事者意識が高まります。
実際に、この会議では次のようなルールが生まれました。
- 全社禁煙
- メディテーションタイム(毎日夕方5分、照明を暗くしてメディテーションを行う)
- 配偶者誕生日休暇(配偶者が誕生日の日に休暇を取ることができる)
- サマータイム制度
- 社歌を作る
——自分たちで会社を創っているという意識を持って仕事にも前向きに取り組めそうですね。今後は何か新しく考えていることはありますか?
鈴木さん(アクロクエストテクノロジー):
新型コロナウイルス感染防止対策として、4月から業務を全社員リモートワークに切り替えています。そのため、「MA」もリモートで実施しています。最初は少し不安があったのですが、工夫をしたこともあってみんなもすぐに慣れて、今では何の問題もなく議論し合える場を作ることができています。
「MA」ではこれまでいろいろ失敗もありましたが、解決策を見出してきました。こんなふうに当社では課題があってもみんなで乗り越えているんです。
…
役員と社員の壁をなくして自由に意見を出し合い、やりたいことに挑戦する。自分らしさを認め合う場とも言える全社員会議は、組織の横のつながりを深めながら、一人一人の可能性をも大きく引き出しているのかもしれません。
【会社概要】
社名:アクロクエストテクノロジー株式会社
従業員数:社員80名
設立年月日:1991年3月25日
業種:情報通信業
事業内容:パッケージサービス販売事業、システムコンサルティング事業、システム開発・支援事業、職場改善コンサル
取材・文/高梨真紀