※画像の「おくすり手帳・薬袋」は架空のものです。

 

一般社団法人薬局支援協会・代表理事で現役の薬剤師でもある竹中孝行さんが、お子さんや自分の薬に関する困ったこと、悩んでいることに対してお答えします。

お薬手帳を持参すると支払い額が変わる仕組みに

お薬手帳は、現在使用している薬やこれまで使用してきた薬などの情報が記載されている大切な手帳です。

 

薬局でのお薬代の明細をみると「薬剤服用歴管理指導料」という項目がありますが、お薬手帳の有無によって薬剤服用歴管理指導料(※)が変動し、毎回同じ薬局に持参することで最大で40円程度安くなります。 自己負担額の割合によって変動します。

(※参考) 薬剤服用管理指導料

  • 原則3ヶ月以内に薬局に処方せんを持参した方で手帳を持参している・・・43点
  • それ以外の方(初めて薬局に来られた方や手帳を持たれていない方)・・・57点   

※特別養護老人ホームに入所されている方や薬局の諸条件によって異なる場合があります。

 

40円程度ならそんなにお得にならないと思う方もいるかもしれませんが、それ以上に、ご自身のためにお薬手帳を持参することのメリットがあります。

 

  • 他の薬や健康食品との飲み合わせを確認してもらえる
  • 過去にあった薬による副作用やアレルギーについて伝えることができる
  • 災害や緊急時に薬の服用歴をすぐに確認できる

 

特に、災害時には、停電などで医療機関側で現在飲んでいる薬や過去の薬の処方状況が一切確認できなくなるため、お薬手帳を参考にして、必要な薬を判断し処方するといったケースがあります。事故など緊急時にも、お薬手帳があると医療機関側ですぐに確認できるため早急な処置が必要な場合にも役に立ちます。

 

手帳を持ち歩くのが手間で面倒という方もいますが、今は、スマートフォンアプリでも、様々な会社が“電子お薬手帳サービス”の提供を行なっています。基本無料で使用できるアプリがほとんどですのでぜひ、ご活用下さい。

薬剤師に伝えた方がいいことってありますか?

お薬手帳にもメモをしておくことが大切ですが、お薬手帳の提出とともに特に伝えたほうが良いこととしては、「現在治療中の疾患」「既往歴」「副作用歴」「アレルギー歴」です。

 

特に、過去に副作用やアレルギーを起こしたことがある薬がある場合には、類似したタイプの薬を飲むと、再度、同様の症状を引き起こす、若しくは命の危険にもつながるような反応が出る可能性があるためです。

 

事前に伝えることで、薬剤師が処方されている薬が問題ないか判断し、問題がある場合には、医師に確認をとって違う薬に変更することができます。

 

※専門的な知識に基づき解説をしています。ただし、例外もあり、個別のケースは必ずかかりつけ医や薬剤師にご相談下さい。

文/竹中孝行