仕事での日常使用やフォーマルな場面など、女性にとって「ハイヒール」を履く機会は多いもの。しかしヒールを履いて間違った歩き方を続けると、姿勢が崩れて腰痛を引き起こすことがあります。その原因は主に「背筋への負担」にありました。ヒールが体に及ぼす影響とその解決策について、理学療法士が解説します。

ヒールは高くても低くても「腰痛」に影響する

 

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ヒールとひと口に言っても、種類や形もさまざま。しかしヒールの高さは、高くても低くても腰痛に影響を及ぼす可能性があります。具体的なメカニズムを見ていきましょう。

 

ヒールを履くと「前かがみ」の姿勢に

ヒールを履くと、踵が高くなり「つま先立ち」をしている状態となります。 すると重心が前に移動するため、体が何も反応しなければ前に倒れてしまいます。例えば、マネキンの踵を浮かした場合をイメージしてください。簡単に前に倒れてしまいますよね。 しかし人間では、倒れないように無意識にバランスを取ろうと反応をして筋肉が働くため、つま先立ちをしても簡単に倒れることはありません。このとき、前に倒れないように支えているのが、主に「腰の周りにある背筋」なのです。

ヒールが高ければ高いほど、背筋にはより強い負荷がかかることになりますが、3センチ程度の低いヒールでも重心は前に移動するため、背筋には負担がかかります。

 

背筋が働きすぎる「反り腰」の悪影響

ヒールをはいた姿勢を支える背筋は、腰を後ろに反らす働きがあるため、背筋が働き過ぎるといわゆる「反り腰」の状態となってしまいます。 背骨にはS字のカーブがあるのですが「腰の部分のカーブが強くなってしまう状態」が反り腰です。反り腰になると、背筋が硬くなったり背骨の関節の動きが悪くなったりして、腰痛を引き起こしやすくなります。 症状が悪化すると、背骨の後ろにある神経の通り道が狭くなる「脊柱管狭窄症

(せきちゅうかんきょうさくしょう)」となり、足のしびれや歩行障害を引き起こす場合もあるので注意が必要です。

 

 

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