「この辺りでは常識なんだから!」(美香さん/32歳/事務員)
本人には口が裂けても言えませんが、私は姑のことが苦手です。それでも押しの強い姑の圧に負けて、義実家の近くへ引っ越すことになりました。 でもいくら義実家の近くに住んだからって、鍵を開けなければ姑は入って来られないし、いざというときは居留守を使えばいくらでも撃退できる。そう、「鍵」だけが私の最後の砦だったんです。 そんな私の思いをよそに、姑は「合鍵」を要求してきたんです。渡してしまえば最後、私の平穏な結婚生活は完全に崩壊する。合鍵を渡せと要求する姑に対峙したときは、本当に背中に冷や汗が流れるのを感じました。 「どうやって撃退しよう…」頭をフル回転させ、なんとか断り文句をひねり出そうとしましたが、姑の「この辺りでは合鍵を渡し合うのが常識なんだから! 郷に入れば郷に従いなさい!」というひと言であえなく撃沈。 そう、私がこの地域に引っ越してきたときには、既に敗北は決まっていたんです。私が死守しようとしていた最後の砦は〝この辺りの掟〟という必殺技で、一瞬のうちに姑の手に渡ってしまいました。