京都市内には様々な鉄道路線が走っています。その中で最も個性的な路線は京都市内で唯一の路面電車である嵐電(らんでん)ではないでしょうか。この記事では嵐電の楽しみ方と魅力を紹介します。
そもそも嵐電(らんでん)とは?
嵐電は京福電気鉄道、嵐山本線(四条大宮~嵐山)・北野線(帷子ノ辻~北野白梅町)の愛称です。阪急やJRなどから嵐電に乗り継げます。以下をご覧下さい。
四条大宮駅:阪急京都本線(京都河原町方面) 西院(さい)駅:阪急京都本線(大阪梅田方面) 嵐電天神川駅:京都市営地下鉄東西線 嵐電嵯峨駅:JR嵯峨野線、嵯峨野トロッコ列車 撮影所前駅:JR嵯峨野線
嵐電は京都市内に残る唯一の路面電車として知られています。かつて京都市内には京都市電をはじめ多くの路面電車が走っていましたが、自動車の増加により廃止に追い込まれました。そのため嵐電は「少し懐かしい京都」に出会える鉄道です。
沿線には嵐山、広隆寺、東映太秦映画村、龍安寺など京都を代表する観光スポットがたくさん。嵐電に乗るだけで1日京都観光が楽しめます。
嵐電はどんな感じ?車両は?
それでは嵐山駅から嵐電に乗ってみましょう。嵐電の嵐山駅は天龍寺の近くにあり、多くの飲食店や土産物屋が入居しています。阪急嵐山駅へは渡月橋を渡り、徒歩約10分です。
嵐山駅ホームには「駅の足湯」があります。料金は1人200円。利用する際は駅にあるインフォメーション窓口で支払いを済ませます。
京紫色のモボ501形、四条大宮行きが入線しました。モボ501形は1984年に嵐電初の冷房車付きの車両としてデビュー。嵐電のサービスアップに大きく貢献しました。車内もリニューアル時に京紫色に変更されています。オンシーズンになると車内は満員状態に。座れなかったら、なるべく中に進むようにしましょう。
モボ501形の運転台です。通常の列車の運転台と比べると小さいです。嵐電はワンマン運転なので、運転しながらマイクで放送するのも運転士の仕事。小さい運転台ながら、やるべき仕事は山のようにあります。
嵐山駅を出発するとしばらくは一般の鉄道路線と同じ専用軌道を走ります。ところで線路の幅を見るとJRより広く感じませんか? JRの線路幅が1,067mmに対し、嵐電の線路幅は新幹線と同じ1,435mmです。もちろん線路幅が同じだからと言って、新幹線の車両が嵐電を走行できるわけではありませんが。
嵐山駅を出発して7分、電車は北野線の接続駅である帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅に着きました。前方に見える紫色の車両が北野線・北野白梅町行きです。
帷子ノ辻駅ではモボ21形が停車していました。モボ21形は1994年に平安建都1200年の一環として製造されました。車内外はレトロ風にアレンジされています。
内装もレトロ仕様となっており、丸灯がいいアクセントになっています。モボ21形も2両しかありません。
嵐電を撮影するなら太秦広隆寺駅の近くで撮影するのがおすすめ。写真のように広隆寺の正門と嵐電の車両を組み合わせて撮影できます。撮影に集中しすぎて線路に立ち入らないように注意してください。
蚕ノ社(かいこのやしろ)駅~西大路三条間は道路を走る併用軌道となります。途中、山ノ内駅に着きますが、ホーム幅はわずか数十メートル!乗降の際には十分にご注意を。
阪急京都本線と接続する西院駅でおもしろい信号を見つけました。これは「↑」が「電車は進んでもよし」「×」が「電車は止まれ」です。
嵐山本線の終着駅、四条大宮駅に到着しました。太秦広隆寺駅から乗車した車両は新しく開館する福田美術館にちなんだ「嵐電MUSEUM TRAIN 『走る美術館』」でした。
阪急京都河原町方面へは四条大宮で、阪急大阪梅田方面へは西院で乗り換えです。阪急大宮駅と阪急西院駅に特急は止まりません。日中時間帯に大阪梅田駅からアクセスする場合は桂駅で準急にお乗り換えください。
嵐電の注意点
嵐電は一律大人220円、子ども110円です。最も安い1日乗車券は「嵐電・嵯峨野フリーきっぷ」で大人700円、子ども350円です。「嵐電・嵯峨野フリーきっぷ」を利用すると嵐電と京都バス(嵐山方面系統)が1日乗り放題となります。発売所は四条大宮駅、帷子ノ辻駅、嵐山駅、北野白梅町駅、京都駅前バスチケットセンター、京都バス嵐山営業所です。
嵐電で注意したいのが支払方法。有人駅と無人駅によって支払方法が異なります。以下をご覧下さい。
有人駅:運賃の支払いは駅改札口で行います。すべてのドアから降りられます。 無人駅:一番前にある運賃箱で支払います。後ろの扉からは降りないでください。
車内放送で有人駅、無人駅の案内があります。嵐電に乗車する際はスムーズな乗降を促進するためにICカードや1日乗車券の利用をおすすめします。嵐電では全国共通ICカードが利用できます。
オンシーズンになると京都市内の道路は大混雑します。嵐電などの公共交通機関を利用すると効率よく京都観光が楽しめます。
文・撮影/新田浩之