ようやく過ごしやすい気温になった今日この頃。祝日も多く、旅行にはぴったりの季節となりました。もし鉄道旅行を考えているなら、京都はいかがですか。今回は京都を走る路線から阪急電鉄嵐山線を紹介します。

阪急嵐山線はどんな感じ?使われる車両は?

阪急嵐山線は京都本線の接続駅である桂駅と嵐山駅を結ぶ全長4.1キロの支線です。嵐山線は桂駅1号線、C号線から出発します。耳慣れない「C号線」は桂駅しかないもの。「C号線」は車庫の引き込み線を活用したもので、オンシーズンに運行される直通列車が入線します。

 

1号線に折り返し普通嵐山行きが入線しました。嵐山線の主力車両は元特急車の6300系です。6300系は1975年に京都本線の特急専用車両としてデビュー。特別料金不要ながら2ドア、クロスシートという豪華な内装は話題となりました。2010年に京都本線の特急から撤退しました。

 

 

大半の6300系は廃車となり、現在は嵐山線の普通列車と京都本線の観光列車「京とれいん」で運行されています。

 

6300系が嵐山線に転用されたのは2008年~2009年です。転用にあたり8両編成から4両編成に短縮。車内の車端部はロングシート、中央部は1列+2列のクロスシートに改造されました。

 

本線時代の8両編成から4両編成になりましたが、編成美はデビュー時のまま。松尾大社駅では美しい6300系の写真が撮影できます。

嵐山駅の隣駅、松尾大社駅で降りてみる

嵐山線で一直線に嵐山駅を目指すのもいいですが、せっかくですから松尾大社駅に寄り道してみましょう。松尾大社駅と嵐山駅のホームにある駅名標はレトロ調になっています。またホームの周辺には桜が植えられており、春になると美しく咲き誇ります。

 

松尾大社駅から5分ほど歩くと、駅名にもなっている松尾大社に着きます。松尾大社は8世紀に創立されました。中世以降から「酒の神」として信仰され、現在も多くの酒造家からの篤い信仰を集めています。嵐山と比べると観光客は少なく、京都の穴場スポットのようなところ。したがって、オンシーズンであっても落ち着いた雰囲気の中で参拝できます。

 

松尾大社駅は苔寺(西芳寺)の最寄駅でもあります。バス停「松尾大社駅」から京都バスに乗り「苔寺・すず虫寺」下車すぐです。苔寺を拝観する際は事前予約が必要なのでご注意ください。

観光地はもちろん駅にも注目したい嵐山

再び松尾大社駅から普通嵐山行きに乗り、終着の嵐山駅に着きました。ほとんどの利用客は改札口へ一目散に向かいますが、嵐山駅にはいろいろな「しかけ」があります。

 

まずはベンチにご注目。嵐山駅のベンチには人力車のタイヤを模した飾りが取り付けられています。

 

ゴミ箱は京都にある町家のようなデザイン。思わずゴミ箱にゴミを入れるのが楽しくなるのでは。

 

臨時降車ホームの向こうに何やらホームのような遺構を見つけました。戦前、嵐山駅は大ターミナルでしたが、現在は3面2線の駅に縮小されています。写真奥にある遺構は戦前に使用されていたホームです。

 

嵐山駅にも灯篭風の電灯があり、明かりを灯していました。夕方になるとほとんどの灯篭風の電灯に明かりが灯り、ロマンチックな雰囲気になりますよ。

 

 

嵐山駅は2010年に京町家をイメージした駅舎にリニューアルしました。現在は駅だけでなく嵐山観光の拠点としても機能しています。駅前には桜が植えられ、春になるとホーム周辺も含め、美しい桜で覆われます。

 

 

嵐山駅から徒歩5分ほどで嵐山観光のハイライトである渡月橋が見えます。天龍寺や竹林の道へ行く際は渡月橋を渡ります。オンシーズンになると渡月橋は大混雑し、写真を撮影するのが難しい状況に。子どもにとってツライ時間になるかもしれません。混乱を避ける意味でも、渡月橋の写真は「渡る前」もしくは「渡った後」にしましょう。

阪急嵐山線のワンポイントアドバイス

阪急嵐山線のダイヤは桂駅~嵐山駅間の普通電車が基本です。大阪梅田駅からですと、京都本線の特急河原町行きに乗り、桂駅で嵐山線に乗り換えます。大阪梅田駅から嵐山駅までの所要時間は約50分です。

 

オンシーズンになりますと、大阪梅田駅や神戸本線からの臨時直通列車が運行されます。臨時直通列車のダイヤは変わりますので、阪急電鉄のホームページで確認してください。

 

ぜひ阪急嵐山線を使って晩秋の嵐山観光を堪能してくださいね。

 

撮影・文/新田浩之