■分娩中はかわいくない(澄香さん/30歳/税理士)
主人と私は、ひと回り以上年が離れています。ノロケますが、いつも「澄香はかわいい」とほめてくれて女の子扱い。おかげで「結婚してからますますキレイになった」と周りから言われることもしばしばです。
出産当日、陣痛が始まったころにはまだ「ついにふたりの愛の結晶に会えるんだね」なんて、恥ずかしい会話を交わす余裕もありました。が、いよいよとなるとそうはいきません。動物のような叫び声をあげ、体をくねらせる私に、主人がドン引いているのが明らかにわかりました。
あげくの果てに「鬼みたいな顔だな…」とつぶやき、腰ではなく眉間のしわをのばそうと、さすり始めるではありませんか。全身の力を振り絞っていきんでいるのに、そんな余計なことをされてはたまったものではありません。
出産を経て、急激に妻から母へとシフトチェンジした私と、主人との温度差を感じた瞬間でした。