JR東海、西日本、九州は東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線に特大荷物置場の設置と事前予約制を導入することを決定しました。これから特大荷物を持ち込むにはどうすればいいのでしょうか。ベビーカーは新幹線に持ち込めるのでしょうか。今回は気になる新幹線事情をお伝えします。

特大荷物置場とは?事前予約制とは?

2019年8月29日、JR東海、西日本、九州は東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線に特大荷物置場の設置と事前予約制を導入することを発表しました。導入時期は2020年5月中旬としています。JR各社が定義する特大荷物とは3辺の合計が160cm超、250cm以内の荷物を指します。250cm以上の荷物は従来から新幹線には持ち込めません。

 

160cm超、250cm以内の荷物は国際線航空機における有料預入荷物と同サイズとされています。2020年5月中旬から特大荷物を上記の新幹線に持ち込む場合は事前予約が必要となります。具体的には特定の指定席(特大荷物置場つき座席)を予約することに。事前予約をすると追加料金は発生しません。なお事前予約なしで特大荷物を持ち込んだ場合は持込手数料1,000円が発生します。

 

少し複雑なのは車内に設置される特大荷物置場の種類です。以下の表をご覧下さい。

 

荷物スペース:
客室内の最後部座席の後方にあるスペースを利用
※2020年5月中旬に導入予定

荷物コーナー:
車内デッキにある一部の洗面台などを整備して新設
※2023年度から導入予定/盗難防止のために二重ロック方式を採用する予定

 

ところで、なぜ東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線に特大荷物置場と事前予約制を導入するのでしょうか。それは2020年に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が行われるから。訪日観光客も含めた多くの観光客が新幹線を利用することが予想されるため、このような措置に踏み切ったと思われます。

東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線にベビーカーは持ち込めるの?

問題はベビーカーを持ち込むことができるか、ということです。 先に結論を書くとベビーカーは今回の特大荷物置場には含まれません。ただし、ベビーカーに対しては別の新ルールが適用される可能性があります。

 

JR西日本のホームページによると、特大荷物置場つき座席は特大荷物を持っている利用客を対象にするとのこと。ただし「ベビーカーなど荷物置場を必要とするご事情があるお客様にもご利用いただけます」と書かれています。少なくとも特大荷物置場に絶対ベビーカーは置けない、ということはなさそうです。ただし、新幹線はオリンピック期間を中心に混雑することが予想されます。あまり、特大荷物置場の空きに期待するのは控えたほうが賢明でしょう。

 

それでは特大荷物置場に空きがない場合はどこにベビーカーを置けばいいでしょうか。答えは座席上部にある荷物棚。東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線の荷物棚は3辺の合計が160cm以内のものであれば収納可能とされています。ただ、いくら160cm以内に折りたためるとはいえ、最近のベビーカーは持ち運ぶのには重すぎるものも多く、ましてや女性は言わずもがな。現実的にどこまで対応できるのか、疑問が残ります。

東北新幹線や北海道新幹線は?

それでは東北新幹線や北海道新幹線はどうでしょうか。2019年9月現在、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、秋田新幹線、山形新幹線、北海道新幹線では特大荷物置場の新設や事前予約制の導入に関する発表はありません。

 

そもそも、上記の新幹線車両にはすでに荷物置場が設置されています。荷物置場の利用にあたって料金を支払ったり、予約をしたりする手間は不要。空いていれば誰でも利用できます。少なくとも制度面で2020年5月以降、東西の新幹線で大きく異なることになります。ベビーカーをお持ちで普段利用しない新幹線に乗車する場合は十分にご注意ください。

ベビーカーを新幹線に持ち込む場合は要確認

2020年5月中旬が近づくにつれ、新幹線におけるベビーカー持ち込みに対して何らかの変更点が生ずることは十分に考えられます。また特大荷物置場設置、事前予約制導入後も変更があるかもしれません。2020年5月以降、少なくとも東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線にベビーカーを持ち込む場合はJR東海、西日本、九州のホームページを確認することをおすすめします。

 

また、帰省などで頻繁に新幹線を利用される方でこれからベビーカー購入を検討される場合は、3辺の合計が160cm以内かどうかも確認した方が良さそうです。

 

文・撮影/新田浩之