目の前の作業に没頭できることが癒しになる


スクラッチアートのタイトルのなかには、「自律神経を整える」「癒し」などと記載されているものが見受けられます。 基本的に、スクラッチアートは下絵をなぞって削るという、とてもシンプルな作業です。スクラッチアートの優れている点は、この「一点に集中できるシンプルな作業」というところ。 シンプルな作業といえば、静物スケッチなども挙げられるでしょう。しかし、スケッチの場合はの絵を描く画用紙と、対象物の間を視線と意識が行き来することになります。一方で、スクラッチアートはすでに色がついていて、下絵もある状態からスタートするので、目の前のスクラッチ面にだけ集中することができます。

 

これによって、心を無にすることができるというのが、もっとも癒しに繋がるポイントではないでしょうか。無心になって作業をしていると、考え事や悩み事から距離を置くことができ、心と体の緊張がほぐれていくのを感じることでしょう。しかも、けずればけずるほど綺麗な絵が出てくるので、達成感も味わえます。 一点に集中し続けると疲れてしまうような気がしますが、さまざまな色が浮かび上がることや、どこを削るか考える楽しみもあるので、無理なく作業ができそうです。また、下絵があるとはいえ、思いのままに線を増やしたりできる自由度も魅力的ですね。

 

このような癒し効果は「アートセラピー」ということもできます。アートセラピーの定義はさまざまですが、「絵を描くことを通してストレスを解放したり自分の中での葛藤や問題を解決する」という目的を持っていて、英国アートセラピー協会では「芸術を媒体とした精神療法」の一つとされています。