今回は神奈川県横浜市にある鶴見駅と京浜工業地帯を結ぶJR鶴見線を紹介します。鶴見線は独特の沿線風景と相まってテレビなどのメディアでも話題になっている路線です。ぜひこの記事を参考にして鶴見線を旅してみましょう。

そもそも鶴見線とは

鶴見線は鶴見駅から京浜工業地帯にある海芝浦駅、大川駅、扇町駅を結ぶ路線です。一般的に鶴見~扇町駅間が「本線」、浅野~海芝浦駅間が「海芝浦支線」、安善~大川駅間が「大川支線」と分類されます。鶴見駅では京浜東北線と接続します。京浜急行電鉄の京急鶴見駅とJR鶴見駅は400mほど離れているので、鶴見線に乗車する場合はJR鶴見駅の利用をおすすめします。

 

ダイヤは京浜工業地帯に通勤する通勤客に特化しています。そのため平日の朝・夕ラッシュ時間帯の列車本数はそれなりにありますが、日中時間帯は極端に減ります。日中時間帯に鶴見線に乗車する場合はJR東日本のホームページなどで、事前に時刻表をチェックすることをおすすめします。

 

鶴見線内の駅は鶴見駅を除き無人駅です。あらかじめ交通系ICカードのチャージを鶴見駅で済ませておきましょう。

海に近い海芝浦駅へ

さっそく、鶴見駅から海芝浦駅を目指しました。鶴見から海芝浦への直通列車は運行されていますが、日中時間帯は2時間に1本しかありません!筆者も前日に時刻表をチェックしました。

 

鶴見線ホームは京浜東北線ホームから少し離れたところにあります。もともと鶴見線は1943年(昭和18年)まで鶴見臨港鉄道という私鉄でした。おそらく路線の成り立ちが鶴見線ホームにも影響を与えているのでしょう。JR東日本の駅ではあまり見られないアーチ型のホームがたまりません。

 

海芝浦行きが鶴見線ホームに入線しました。鶴見線で走っている電車は205系です。デビューした1985年(昭和60年)から2010年頃までは首都圏で大活躍していましたが、近年はあまり見かけなくなりました。鶴見線の205系は前面が大幅に改造されたタイプです。

 

見慣れた205系の車内も新型車両と比べればクラシカルな雰囲気が漂います。特にステンレス製のドアが目立ちますね。

 

鶴見駅を出発して10分ほどで海芝浦駅に到着しました。写真のとおり、ホームのすぐそばが海。これほどホームと海が近いところは珍しいのではないでしょうか。そのせいか、工場関係者に混じって筆者のような旅行者もいました。夏休み期間中だったので親子連れも見かけましたよ。

 

ホームの向かい側には京浜工業地帯の工場群が見られます。夜になるとライトが工場を照らしミステリアスでロマンチックな光景が見られるとか。デートスポットにもピッタリですね。

 

海芝浦駅は改札の外に出られない駅としても知られています。なぜなら同駅は東芝の子会社の工場の敷地内にあるからです。何かしらの証明書を守衛さんに提示しないと外には出られません。そのかわり、駅と直結する形で東芝がつくった公園、海芝公園があります。園内にはベンチがあるため、海を見ながらお弁当を食べるのもいいでしょう。

 

日中時間帯に海芝浦駅に着いた場合は同駅の時刻表を確認しましょう。日中時間帯、鶴見行き折り返し列車は2時間に1本しかありません。

 

 

海芝浦駅から鶴見行きに乗りました。こちらは海芝浦~新芝浦駅間の車窓。まるで工場内にある引き込み線に乗っているような感じです。

昭和時代にタイムスリップできる駅、国道駅

鶴見駅の隣駅にあたる国道駅に降りてみました。国道駅はカーブ状の高架駅となっています。「都会のローカル線」らしくレールの近くには草が生えていました。

 

改札を出ると、まるで映画のセットのような光景に出くわします。まるで昭和時代の初期にタイムスリップしたよう。人通りが少なく、時が止まったような印象を受けます。おそらく鶴見臨港鉄道時代から変わっていないのでしょう。

 

高架下には写真のようなレトロな看板をいくつも見かけました。

 

駅名の由来にもなっている第一京浜国道(国道15号線)に出ると現実に引き戻されます。周辺は人家が立ち並ぶ都会なので、国道駅のようなレトロな無人駅が残っているとこに驚きを禁じえません。国道駅から5分ほど歩くと京浜急行電鉄の花月園前駅に着きます。こちらは日中時間帯であっても10分間隔で列車が止まります。

子どもと鶴見線に乗る際の注意点

 

子どもと鶴見線に乗る際はホームと車両の間の隙間にご注意ください。筆者が見かけた浅野駅の海芝浦方面のホーム、国道駅のホーム(写真)ではかなりの隙間が空いていました。しっかりと手をつなぐことが大切です。

 

鶴見小野駅を過ぎると工場地帯に入ります。おそらく駅周辺には商店が少ないもしくは無いと思われるので、飲み物や食べ物は鶴見駅構内にあるショップで購入することをおすすめします。

 

文・撮影/新田浩之