■江戸時代の卵料理

江戸時代の卵料理のレシピが数多く残されています。1785年(天明5年)には「万宝料理秘密箱 卵百珍(まんぼうりょうりひみつばこ たまごひゃくちん)」という料理本が発売されました。 当時が百珍ブーム(100種類の調理法の紹介)だったので、「卵百珍」と呼ばれました。中には、いかにも江戸っ子が喜びそうな、103種類の卵料理のレシピが載っています。 ゆで卵は「煮貫(にぬき)」という料理名で登場し、「新撰絵本柳樽(しんせんえほんやなぎだる)」という本では、てんびんでゆで卵を売る行商人の姿が描かれています。 古川柳では「売りだめに桜のまじる玉子売り」と詠まれており、春の花見の季節に売り歩いたことがわかります。 江戸っ子はかなり卵料理が好きだったとみえ、江戸時代の文献「仙台下向日記」・「東海道中膝栗毛」には卵百珍の一つ、「卵ふわふわ」といった料理が登場します。 静岡県袋井市の観光協会ではこれを再現し、今ではご当地グルメの一つとして、とても人気があるそうです。ちょっとロマンを感じませんか?


■卵に関する豆知識あれこれ

卵には赤玉と白玉がありますが、「なぜか赤玉の方が栄養がある」と思う人が多いようですがそれは間違いです。 卵の黄身も、「色に赤みがあって濃い方がおいしい」と思われがちですが、全く違いはありません。食べたエサによって黄身の色が変わるだけです。 卵のサイズは、白身の量が違うだけで、黄身の大きさにはほぼ変わりがありません。 有精卵は、大量生産できる無精卵より高値ですが、栄養学的な違いはないそうです。


■まとめ

「物価の優等生」の卵、昔から滋養強壮に良いとされている卵。先人の努力によって、安全で、安く手に入る現代に感謝しましょう。