インタビューに答える鈴木啓太さん

大切なのは愛情 食事で子どもたちのサポートを


── また、子どもの運動能力を伸ばしたいという親も多いと思います。アスリートのコンディショニング調整の実績などから、親が子どもにしてあげられることはあるのでしょうか?

 

鈴木さん:これはアスリートにもお話しするんですが、腸内環境を整えたからといって身体的な部分でのパフォーマンスが直接的に上がるということはないと思っています。 でも、腸内環境がよく、常に身体のコンディションが整っていれば、たくさんのトレーニングができるようになるし、1回のトレーニングも全力で取り組むことができる。

 

結果、それが競技力を上げることに繋がるんです。 筋力や先天的な能力は変えられなくても、コンディショニングに目を向け、各家庭で食事に気を配るなどのサポートをしてあげてほしいです。

 

── お話を聞いていて、子どもたちにも腸の大切さを教えていきたいなと思いました。ご自身の経験から、親はどんな伝え方をするのがいいと思いますか?

 

鈴木さん:僕は子どもの頃から母に「腸が大事だ」と言われ続け、それが今だに耳に残っています。だから、言い続けることはすごく大事なんだと思います。 ただ、子どものころはその意味がよくわかっていませんでした。でも、それでいいんです。 母が僕に「腸が大事だよ」と言ってくれていたのは、僕を愛し、一生懸命育てようとしてくれていたから。

 

例えば嫌いな野菜を食べない時に、食べられるよう努力や工夫をしてあげる。それは、愛情を注いで観察するということですよね。 食育の一環でもあるし、腸内の健康にもつながっているんですが、まず最初にあるのは子どもへの愛情。それが一番大事だと思います。 僕もそういう大きな概念の中で、腸というものを切り取って、子どもたちやみなさんにとって役立つ研究や事業をしていきたいと思っています。

 

子どもたちにも優しいまなざしを向けて事業に取り組む鈴木さん。 私たちも子どもたちに愛情をたっぷり注ぎながら、健康への意識を高めていってあげたいですね。

 

PROFILE 鈴木啓太

鈴木啓太さん

AuB(オーブ)株式会社代表取締役社長。元サッカー日本代表。「腸内細菌をベースにアスリートのコンディションをサポートし、スポーツ界に還元したい」との想いから同社を設立。これまで解明できなかった一流アスリートの便の傾向を解析し、コンディショニングコントロール法の確立を目指す。また、その知見を一般の方々の健康にも還元すべく、プロダクトやサービス展開を行なっている。腸内フローラ検査サービス「BENTRE(ベントレ)」の詳細・購入はAuBのHP(https://aub.bentre.jp/aub/login)にて。

 

取材・文/小西和香 撮影/菅井純子