インタビューに答える鈴木啓太さん

日本代表としても活躍した元サッカー選手の鈴木啓太さん。引退後にアスリートの腸内フローラを解析する会社「AuB」を立ち上げました。 前編「『人間腸が大事』元日本代表・鈴木啓太さん 頭に残る母の言葉」に続き、後編では腸に関する身近な疑問について、お話を聞いていきます!

腸内環境の乱れがストレスにつながる


── (前編でも)腸内環境と健康の結びつきについて伺いましたが、腸の問題が、特に私たち働くママの健康に影響を及ぼしていることはありますか?

 

鈴木さん:みなさんが思っている以上に、身体のいろんな面に影響してきます。 腸内環境が乱れていると、例えば肌荒れや便秘を引き起こしたり、風邪を引きやすくなったりと身体の不調が出ることがあります。 また、腸内細菌はアレルギー反応を抑える働きもしているので、そうしたデメリットもあるかもしれません。 あとはイライラしやすくなるなど、精神面に影響が出ることもあります。

 

── (前編で)無菌マウスがよく喧嘩するという例がありましたが、腸内環境は人間のメンタルも左右するんですね。イライラしがちだと自省するお母さんも多いと思うのですが…。

 

鈴木さん:例えば幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」。脳内で働く伝達物質のひとつで、精神の安定や感情のコントロールに関わることで知られていますが、その90%が実は腸でつくられているんです。

 

そのため、腸内環境を整えることができれば、セロトニンがきちんと分泌されるようになり、イライラしづらくなると考えられます。 僕もアスリートのころ身体だけでなく心の状態にも気を配っていましたし、食事を見直して整えたら、ちょっとやそっとのことじゃイライラしなくなった、客観的に物を見られるようになった、という知人もいます。

 

ことわざで「腹の虫がおさまらない」とか「腹をくくる」とか表現するように、日本人は昔から精神的なものと腹を結び付けていますよね。腹の大切さを理解していたんだと思います。

 

インタビューに答える鈴木啓太さん

── なるほど。イライラするとやる気が起こらず食生活も乱れることがありますが、きちんとした食事をとることが精神的な安定につながるんですね。

 

次に子どもと腸のかかわりについてお伺いしたいんですが、鈴木さんご自身は、お子さんたちに対して気を付けていることはありますか?

 

鈴木さん:漬物や青汁、ヨーグルトなどをはじめ、色々な食材を食べさせることです。 腸内細菌は多様性が大切だとされているので、多くの菌が育つようにしています。人間の身体は食事がベースですから。 あとは、除菌しすぎないことも大切です。 もちろんウイルスやばい菌には気を付けないといけませんが、身体の中に菌を取り込む機会をあまりに少なくしてしまうのはよくない。除菌しすぎると、アレルギー体質になりやすかったり、肥満になりやすかったりするという研究報告もあります。