アイドル活動で自分を肯定できるようになった

── 大学院を卒業した後は一般企業に就職され、2025年に「学歴の暴力」に加入されます。社会人になってからのアイドル活動、何がきっかけだったんでしょうか。
らむむらむさん:もともとAKBなどのアイドルが好きだったのですが、子どもの頃にみんなの前で歌って「音痴」と言われたことがあって歌には苦手意識があったんです。それに、見た目にも自信がなくて、オーディションを受けたことはありませんでした。でも、大学に入って自分がやりたいことを少しずつ積み重ねていくなかで、「チャレンジしたい」と思える勇気が湧いたんです。
「学歴の暴力」という高学歴のアイドルがいることは知っていましたし、メンバーのなつぴなつちゃんとはSNSで交流があったんです。それである日「高学歴者限定で1日だけアイドル体験ができるイベントをする」という告知を見て、「やってみたい!」と、思いきって応募しました。
── 加入については、悩みませんでしたか?会社員をしながらだと、周りの人や親御さんの目が気になることはなかったのでしょうか。
らむむらむさん:学歴の暴力はセルフプロデュースのグループなので、持ち出しも多いというところでは迷いましたけど、20代のうちにやりたいことはやっておきたいという気持ちが上回りました。
ただ、地下アイドルだとどんな反応をされるかわからなかったので、会社には黙っていました。親には元々、話すつもりはなかったです。
── 憧れのアイドル活動を実際に始めたことで、変化はありましたか?
らむむらむさん:これまでは、自分にまったく自信がなかったんです。でも、イベントを重ねるなかで、「どんどんきれいになるね」「頭の回転が早いね」とファンやメンバーから褒めてもらえるようになって。自分を少しずつ、肯定できるようになった気がします。
── 周りの人から認めてもらうことが自信につながっていったのですね。社会人になってからは、親御さんとはどのような関係だったのでしょうか。
らむむらむさん:定期的にLINEも電話も来ていました。これまで3回転職したのですが、そのたびに会社名と電話番号を必ず教えるように言われていて。先日も転職をしたのですが、以前勤めていた会社を母親が気に入っていたので怒られると思い、黙っていたんです。そうしたら母が前の会社に電話をかけて、辞めたことを確認していて。正直怖かったですし、また職場に連絡をされても困るので、「しばらく関わらないでほしい」と伝えてLINEをブロックし、電話番号も変えました。
── 親御さんのLINEをブロックするのに罪悪感などはありませんでしたか?
らむむらむさん:なかったですね。母の姉であるおばが間に入ってくれて、「らむちゃんのお母さんは、らむちゃんが子どもの頃からすごいプレッシャーをかけていたのをおばさんはよく見ていたから、自分を守るためにも距離を置いたほうが絶対にいい」と背中を押してくれたんです。おばはそれまでも私のことを気にしてくれていたんです。
「このルート以外ダメ」なんてことは絶対ない
── 子育てをしていると、程度の差はあれ「子どものため」と過干渉気味になってしまう親御さんは少なくないかもしれません。
らむむらむさん:過干渉は子どもの自由を奪う行為ですし、自分の世界が親の決定にすべて委ねられてしまうんです。それって子どもの自立を妨げる行為ですよね。干渉されるほうは、どこにいても何をしていても「親の目がある」と思ってしまうし、人生が苦しくなってしまいます。私はなんとか脱出できてよかったですが、もうあまり思い出したくないな…と感じています。
もし当時の自分に声をかけてあげられるなら、「親の言うことを全部聞かなくてもいいんだよ。自分の好きなことを調べてみたり追いかけてみたりして、勉強以外の選択肢や他の世界があることをもっと知ってほしいな」と伝えたいです。
── 今、ご自身ではどんなことを大切にされているのでしょうか。
らむむらむさん:今は、やってみたいと思ったらまず行動することを心掛けています。学歴の暴力への加入もそうですが、自分で決めたことはそれなりに責任も伴うし、体力的にも大変なことはあります。それでも「やってみたら結構、楽しかった」ということもたくさんあるはずなので、やらない後悔よりもやって後悔するほうを選びたいなと思っているんです。
それに、とりえずやってみてダメだったら、原因を分析して修正すればいいですよね。たとえば、高校受験や大学受験に失敗して志望校に行けなかったとしても、遠回りになってしまうかもしれないけれど、そこからやり直せると思うんです。就職してから大学に入ることだってできますよね。これまでいろいろな経験をしてきたからこそ、「このルートじゃないともうダメ」なんてことは絶対にないんだ、と思えるようになりました。
取材・文:竹田りな 写真:らむむらむ