「義母に認められたい」一心で49歳から筋トレを

宮田みゆき
結婚後は夫の両親と同居し、2人の息子を育ててきた

── そんななか、どんなきっかけで筋トレを始められたのですか。

 

宮田さん:きっかけは、長男が筋トレに目覚めたことです。サッカー推薦で大学に入ったのですが、ケガが多くてピッチに立てず、リハビリメニューで筋トレをしていたらハマって。卒業後はサッカーの道ではなく、スポーツクラブに就職しました。そこで先輩たちに影響を受けて、「ボディビルの大会に出てみたい」と、本格的にトレーニングを始めたんです。

 

長男がボディビルの大会で賞をいただいて喜んでいたら、今度は夫がボディビルを始めたんですよ。それまでも筋トレはしていたので、「息子に負けたくない」と思ったんでしょうね。

 

── それで、宮田さんも影響されたのですか。

 

宮田さん:いえ、長男と夫がデビューした時点では、私はまだ筋トレにもボディビルにも興味がありませんでした。むしろ嫌いだったんです。ふたりが過酷なトレーニングや減量をして、苦しんでイライラしているのを見ていましたから。

 

たまたま長男を応援しに行った大会で、女子の「フィジーク」という競技を目にしたんです。自分の好きな曲に合わせて、自由にポーズをする。その姿が美しくて魅力的で、感動しました。昔からダンスやエアロビクスをやっていたので、曲に合わせて体で表現することは大好きだったんです。「やってみたい」と、そのときに思いました。49歳のときです。

 

夫に話したら、「出場するからには絶対に優勝を目指そう。4か月、オレを信じてついてきてくれたら、必ず優勝できるから!」と力強い言葉があり、そこから筋トレ経験の長い夫の猛特訓が始まりました。

 

週5回、1日3時間の厳しいトレーニングに耐えられたのは、厳しい義母のおかげで、日々のつらいできごとに耐えられるメンタルが鍛えられていたからだと思います。『巨人の星』の星飛雄馬が、お父さんにボールをぶつけられながら練習していたシーンをご存じですか。あれの筋トレ版です(笑)。疲れて床に伏せても、「こんなことじゃ勝てないだろう!」と起こされて、またやらされる。通っていたジムでは、有名でした。「あの夫婦、すごいよね」って。

 

私も周りの目が気になりつつ、「ここで逃げたら勝てない」と自分に言い聞かせました。「とにかく義母に認めてもらいたい」って。「何が何でも優勝したい」という思いで、すべてをかけました。

 

そして、4か月後のデビュー戦「東京オープンボディビル選手権大会」で、本当に優勝したんです。

 

── ご家族の反応はいかがでしたか。

 

宮田さん:喜んでくれました。夫のスパルタな指導と過酷なトレーニングは、今の私にはもう無理かな、と思いますけど(笑)。彼は今もストイックにトレーニングを続けて、結果を出しています。同じ目標に向かっているうちに、息子たちとの関係もよくなりました。長男とは同じジムでトレーナーとして働いているのですが、「お母さん、人生これからだから。もっと自分の時間を大事にして楽しんでよ」と言ってくれます。私の過去をいちばんよく知っている息子からの言葉は嬉しいですね。

 

義母もだんだん応援してくれるようになりました。義父は亡くなりましたが、90歳になった義母は今もパワフルで元気です。最近は「みゆきさんはすごいわね、すばらしいわ」と褒めてくれるんですよ。私も昔とは変わって、義母がきつい言葉を発したときは、「軽い気持ちで言ったとしても、そんな言い方をしたら傷つきますよ」と直接伝えられるようになりました。「お母さん、昔はきつい口調でこんなことを言いましたよね」などと話すこともありますが、「そんなこと言ってないわよ」と。昔のことは覚えていないみたいですね(笑)。

 

取材・文:林優子 写真:宮田みゆき