卵子提供にも挑み、2回目、3回目と妊娠するも

── 1回目の妊娠から約8年後ですね。
いとうさん:はい。でもやっと妊娠できたと思っていたら、妊娠10週くらいで流産してしまいました。仕事で日本に一時帰国していたときに、日本の産婦人科で定期検診をしたら突然「心拍が止まっています」と言われたんです。
けれど、年齢を考えると落ち込んでいる暇はない。今度は違う方法でチャレンジしてみようと思って卵子提供を考えました。提供された卵子を使って夫の精子で受精卵を作り、私のお腹で育てようと思ったんです。
夫に相談すると、夫はDNAにこだわる人ではなかったので、「いいよ」と言ってくれました。日本では卵子提供の話はほとんど聞かないと思いますが、アメリカの不妊治療ではそこまで珍しいことではなかったですし、すぐに卵子提供のエージェントに登録しました。
── 卵子はどうやって選ぶのでしょうか?
いとうさん:卵子提供者のリストから、卵子提供者の写真や年齢、経歴、健康状態など細かくプロフィールが記載してあるのでそこから選びます。ただ、どの卵子を選ぶかは、私が自由に選ばせてもらいました。夫はそんなつもりがなくても、夫が卵子提供者の写真を見て選ぶのは、乙女心と言いますか、私が少々嫉妬してしまいそうな気がしたんです。でも、卵子提供を受けても結局うまくいきませんでした。
── 厳しいですね…。しかし、その後、49歳でもともと保存してあったご夫婦の受精卵をお腹に戻すと、3回目の妊娠がわかったそうですね。
いとうさん:今まで2回も流産してきましたが、今回こそはと思ってかなり期待しました。2回目の妊娠では10週目で流れてしまいましたが、3回目の妊娠は10週目を超え、12週目あたりから画像で手足が確認できるようにもなり、動いている様子も見えたんです。胸が弾み、マタニティビクスにも通い始めました。
ただ、仕事の都合で3か月に1回程度日本に帰国していて、美容院に向かっているときにヌルッとした感覚がありました。嫌な予感がして急いでトイレに行くと出血していて、「またか…」と思いました。急いで当日診てくれるクリニックをすぐに探して受診したところ、今回は大丈夫でした。心配だったので3日に1回程度そのクリニックに通って診てもらいましたが、医師から「大丈夫、安心して」と言われ、先生もすごく優しい方でしたし、何度も励ましてもらって安心したんです。
── 医師からお墨付きをもらって。
いとうさん:はい。その後、アメリカに戻って14周目くらいですね。不妊治療のクリニックとは別に、出産するための病院を探しはじめていました。「水中出産もいいな。どこの産婦人科の先生が評判がいいのかな」と、調べながらワクワクしていたんです。
ある日、新たな病院で話を聞いてみようと思って、夫と一緒に検査をしに行くと、「心拍が止まっています」と言われました。日本でも「大丈夫」と言われていたのでまったく予想できておらず、かなりダメージが大きかったです。