集落の村長から「ワシの5番目の妻に」と求婚も

── 現地の人とコミュニケーションはどのように?
ヨシダさん:当時は英語も話せなかったので、自分の思いは全然、伝えられませんでした。私はそもそも日本でもコミュニケーションが苦手で、友達作りは得意ではなかったんです。でもアフリカではなぜか「この人たちと同じ格好をすれば、仲良くなれる」って思ったんですよね。絶対的な自信というか。
ある年、カメルーンに行ったときに、カメルーンの山岳民族であるコマ族は、腰の前と後ろを葉っぱで覆うだけのスタイルで暮らしていました。それを見て、「みんなと同じ格好がしたい」と告げると、現地のお母さんたちはすごく喜んでくれました。でも私が服をどんどん脱いでいって下着を取ろうとした瞬間、手を弾かれたんです。「脱がなくていい」って。彼らは自分たちと私の文化が違うことを理解していて、人が肌をさらすのは勇気がいると、わかっていたんです。
でも、私としては現地で中途半端に下着だけつけているほうが恥ずかしい気がして、無理やり脱いでみんなと同じ格好になったら、すごく喜んでくれました。みんなが一斉に笑顔になって、私を取り囲んで歌って踊り出したんです。しかも私の潔さを気に入ってもらえたのか、集落の長老から「ワシの5番目の妻に」とプロポーズまでされて。その瞬間、言葉が通じなくても相手との距離を縮めるには、相手の文化を好きだと伝えることなんだって気づいたんです。
その後は現地で暮らす人たちと過ごすなかで、会えばお茶をご馳走してくれたり、ハグをしてくれたり。人って優しいなって思いました。私は学生時代にいじめられた経験があって、今でも感情を出すのが苦手ですが、アフリカの人の言葉やハグは素直にスッと入ってきましたね。アフリカの文化って、下町よりも距離感が近い感じがあって、それが心地いい。
── 現在は少数民族の写真を撮るフォトグラファーとして活躍されていますが、積極的に写真を撮るようになったのはこの頃ですか?
ヨシダさん:そうですね。せっかくきれいな人やすごく親切にしてくれた人がいても、時間が経つと自分が見たものを忘れてしまうのはもったいないなと思ったんです。あと、アフリカのネガティブなイメージを払拭したかったのもあります。
アフリカで現地の人たちの写真を撮ってインターネットにあげていたところ、ウェブメディアの方から写真の掲載依頼がありました。何度かメディアに写真を掲載していただくうちに、今度はTBSの『クレイジージャーニー』から声を掛けていただいて。「アフリカについて行ってもいいですか?」と聞かれたので、深いことを考えずに、快諾しました。