「悪臭に病気も…」多頭飼育崩壊の現実

── 飼い主から捨てられるなどして、さまざまな事情で行き場を失った保護猫たち。その実態を知って何を思いましたか。

 

池崎さん:とくにショックを受けたのが、飼い主がペットを無秩序に増やしてしまい、飼いきれなくなってしまう「多頭飼育崩壊」の現実を知った時のことです。実際に現場を訪問したこともあるのですが、部屋の中が猫の糞尿でものすごく汚れて、強烈な臭いが立ち込めていて…。そこにいるだけでつらくなるような環境です。そんな場所に、何十匹もの猫がいて、かわいそうでしかたがありませんでした。

 

── どういった事情で多頭飼育崩壊が起きてしまうのでしょうか。

 

池崎さん:問題を起こしてしまった人にも悪気があったわけではないと思います。「かわいいから」「かわいそうだから」と、善意で野良猫を自宅に連れ帰って飼い始めたものの、きちんと避妊・去勢手術をしなかったために、みるみるうちに猫が増えていく…。

 

仮にそこから助け出したとしても、多頭飼育崩壊を起こしている現場では不衛生な環境が多く、知らない間に病気になっていたりして治療が必要ですし、引き取り手を探すために避妊・去勢手術もしなくてはなりません。猫を幸せにするには、善意だけでなく、知識やお金も必要だと思いました。

 

── 飼育法に関してもさまざまな意見があります。行政や保護団体はいっさい屋外に出さない「完全室内飼い」を推奨していますが、「猫は外で自由にしているほうが幸せなのでは?」と考える人もいます。

 

池崎さん:実際に猫がどう思っているかはわかりませんが、猫にとって外の世界は僕たちが想像する以上に危険です。飢えや暑さ、寒さにさらされ、交通事故や病気感染のリスクも高い。室内飼いなら10~20年生きられますが、外で暮らす野良猫たちの寿命は4〜5年と、ものすごく短くなってしまうんです。そういったリスクを考えると、やはり安全な家の中で飼ってあげるほうがいいんじゃないかな、と僕は思います。

ボランティアはムリなくできることからでいい

── 猫のために何かしたい…そう思った人は、何から始めたらいいのでしょうか。

 

池崎さん:家の事情で保護猫を迎えることができなくても、できることはいくらでもあります!たとえば、僕がやっていたように、週末だけ保護猫団体さんのシェルターでケージなどを洗うようなボランティア活動もいいと思います。人手不足ですから、いろんな団体がボランティアを募集しているのではないでしょうか。

 

他にも活動を維持するためのお金を寄付したり、団体さんが必要としているキャットフードや猫砂などをインターネット経由で送って支援する手もあります。

 

ふうちゃん(風神)は抱っこすると、盛大にのどをゴロゴロ鳴らして甘えてくる

── 保護猫活動には人手もお金も必要なのですね。池崎さんもYouTubeチャンネル『ふうちゃんらいちゃんねる』を開設し、その収益を寄付しているとか。

 

池崎さん:僕のメインの仕事はあくまでお笑い芸人なので、ボランティアもたまにしか参加はできませんが、少しでも力になれたらと。また、ありがたいことに僕には芸人としての発信力があります。僕の発信を見て「初めて保護猫の存在を知った」「自分も保護猫を飼い始めた」「ボランティアに参加するようになった」という声をたくさんいただくんです。

 

少しでも保護猫の存在が世間に広まり、保護猫を家族として迎える選択肢が当たり前に定着していってほしい…。だから、これからもできる範囲でこの活動を続けていきたいと思っています。

 

取材・文:鷺島鈴香 写真:サンシャイン池崎