東京進出直後のつらい時期を救った先輩のひと言
── 2022年に大阪から東京に拠点を移されたときは、はるさんが荒川さんより1か月先に上京されたそうですね。

はるさん:荒川は大阪で仕事が残っていたから、私が1か月先に上京したんです。そうしたら寂さのあまりにホームシックみたいになってしまって…。
本音を言うと、東京に拠点を移すとき「荒川は東京でもたぶんなんとかなるだろう」と思っていました。おもしろいし、ギャルっていう強いキャラもあるし。それに、荒川はショーレースでも「結果を残して、コンビで前に出ていこうな」っていつも積極的でいてくれて。上京する前から私に対しても「はるは絶対に大丈夫だから」って言ってくれて。私も「荒川がいるし、大丈夫。ついていこう」と思って、東京にも出てきたんですけど…。
でも、荒川のいない東京での生活を始めてみたら、「どうしよう」って不安が大きくなって、周りに仲のいい芸人仲間もいないことにも寂しさをどんどん感じるようになったんだと思います。
── 東京進出は、はるさんにとって不安なスタートになっていたんですね。
はるさん:はい。でも、気が滅入りそうになったタイミングで、尼神インターの渚さんがサラッと声をかけてくださったんです。渚さんとは、大阪のライブで何度かご一緒したくらいで、じっくりしゃべったことはなかったんですけど。私が上京したのを知って、他の方から私の連絡先を聞いてくださって。「はるちゃん、よかったらご飯食べに行かへんか」って誘ってくださいました。
しかも、毎週のように食事に連れて行ってくださるんですよ。あまりにも不思議で、「なんで誘ってくださるんですか?」って聞いたら、「私も上京したときはホームシックになって苦しかったから。ちょっとでも楽しくなったらいいなと思って」って。それで、渚さんは、まったく交流のなかった私の話を何度も聞いてくれたんです。
── 東京進出したばかりのはるさんを、尼崎インターの渚さんが励ましながら背中を押してくれたんですね。
はるさん:そうなんです。しかも、なんと、渚さんの冠番組『渚の日立なかよし倶楽部』の初ゲストに私を呼んでくださったんですよ。そのとき、私は今にもまして何もできない時期だったのに、仕事の機会をくださって。
渚さん、今はお忙しくてあまりお会いできないんですが、渚さんがいなかったらあのときは乗り越えられなかったと思います。かっこよすぎるし、自分もそういう人になりたいと思いました。一生忘れないと思います。
『1秒ものまねGP』での優勝が自信に
── 2026年1月から出演されている情報番組『ラヴィット』の「1秒ものまねGP」では、はるさんが3回連続出場し、2回優勝するなど大活躍されました。「スナックのママ」などのネタは、はるさん自身が作っているんですよね?
はるさん:スタッフの方から「番組に出ませんか?」ってオファーをいただいたとき、「絶対に出たい!」と思ったんですけど、いつもエルフのネタは荒川が書いてるから、最初、どうすればウケるかわからなかったんです。
だから、エルフのライブ終わりに劇場の控室に3時間ひとり閉じこもって、必死にネタを考えました。そのうち「こういうキャラでこういうセリフを言いたい」ってアイデアが少しずつ思い浮かんできたんです。
「スナックのママ」は、「大阪で遊んだときに見たことあるな」って印象的だった女性をネタにしました。シックな黒いドレスを着たアンニュイなママが、「久しぶりー。生きてた?」って言うだけなんですけど。スナックのママってそういうことを言いがちだよなって浮かんだんです。それで、友達や同期にやって見せたら、「ああ、そういう人、いる気がする」って言ってくれて、なんか自信がつきました。
── 1回目、2回目とも敗者復活して、結果、それぞれ優勝されましたよね。3回目の出場では「はる枠」でまた敗者復活されて。どんなお気持ちでしたか?
はるさん:1、2回目とも最初は敗北したのに、敗者復活戦で、結局優勝になって不思議な気持ちでした。とはいっても、メイクさんに「私、1回目が好きでした」とか言ってもらえたり、反響の大きさを肌で感じるので、「ま、いっか」って(笑)。
しかも、司会者の川島明さんがいきなり「はるは、はる枠で敗者復活」って言い出して、半ば強引に登場回数を増やしてくださって。すいませんって感じなんですけど、ありがたいですね(笑)。でも、次こそは、ストレートで勝たないとって思ってます。
芸人11年目「やっと全力ツッコミができるように」
── なかなか前に出られなかったという性格は、今はいかがですか?

はるさん:コンビを組んでからもずっと全然前に出られないうえに、ツッコミも満足にできなくて。芸人は向いてないんかなと思ったこともあります。でも、ありがたいことに、芸人の先輩方や同期が「お前、おもしろいから」「エルフは2人だからええねん」って根気よく言い続けてくれて。そのおかげもあって、最近ようやく、全力でツッコミながら強く言い返したりもできるようになってきました。
まだうまくはないと思いますけど、10年前とかは少なくとも人前で大きな声すら出せなかったので。ちょっとずつですが、自信がついてきたかなと思います。
取材・文:たかなしまき 写真:はる