「売上9割減」ピンチを救った自販機アイデア

── 事業は順調にすべりだしました。しかし数年後、コロナ禍にみまわれます。その影響は大きかったのでは?

 

立川さん:飲食店への卸がすべてストップし、売上は9割ダウン。毎日100キロ以上のパクチーを廃棄せざるを得なくなりました。そこで考えたのが、自動販売機を使った非対面販売です。直売所で自分が手売りをすることも考えたのですが、自分の身はひとつですし、何よりコロナ禍では非対面が求められますから。

 

自販機は人手を借りずにすみますし、お客さまも好きなタイミングで安心して購入できます。飲食店などへの取引が壊滅状態のなか、売上が少しずつ回復していきました。「コロナで人と会いたくない、でも、美味しいものは食べたい」ニーズに、非対面の自販機がはまったのです。

 

── コロナ禍以降も、猛暑や水不足など、農家にとっては試練の連続ですね。

 

立川さん:10年農家をやってきて、思い通りにパクチーが育ったのはほんの数回です。順調に育っていても、「今たくさん収穫したい」タイミングにピッタリはまって育つわけではありません。農業ってつくづく難しい仕事だなと思います。

 

パクチー自販機
パクチー加工品やパクチー葉を販売する自販機を設置。コロナ禍の対面自粛期を乗り切った

── それを補うために、加工品事業や自販機販売をしてきたわけですね。そして今、さらにカフェも開業するとか。

 

立川さん:猛暑で収穫量が落ちる時期や農閑期対策をしつつ、農家が作った野菜のおいしさをまるごと伝える場として、5年前からの夢だったカフェ「87wa(はなわ)」を開業することにしました。

 

子育てを終えた世代の人がゆったり落ち着けるよう、「大人のお子さまランチ」などを提供して、ジャズを流して…。地元の人が農作業の帰りでも気軽に立ち寄ってゆっくりくつろげる空間をめざしています。開業にあたっては、お隣のおばあちゃんが店の目の前の塀に絵を描いてくれたり、老舗菓子店の社長さんがアンティークの食器を破格で大量に譲ってくれたり、本当に多くの方が後押ししてくれて、「私、応援されてる!」と、嬉しかったですね。