最愛の夫との死別を経て42歳でパクチー農家に転身を果たした立川あゆみさんですが、ほどなくしてコロナ禍が到来。卸先の飲食店は壊滅的な状況になり、出荷量は9割減。手塩にかけて育てた作物が毎日100キロ以上も廃棄される現実を目の当たりにし「もったいない」と思いついたアイデアが、窮地を打開する一手となりました。

廃棄や売れ残り…逆転発想で誕生したパクチー餃子

── よしもとの芸人、アパレルデザイナーなど多彩な職歴を経て、42歳でパクチー農家に。パクチーを栽培するだけではなく、加工商品も開発し、「PAKUCI SISTERS(パクチーシスターズ)」というブランド名で事業展開していますね。

 

立川さん:農業をやっていると、規格外などの理由で、どうしても生産物を廃棄しなくてはならない場面が出てきます。手塩にかけたパクチーを廃棄する行為は、ただただ悲しくてしかたがありませんでした。

 

育てたパクチーを生かし切るため、加工して売ることはできないか…そう考えて誕生したのが冷蔵用のペーストです。パクチーが苦手な人でも食べられるよう、ペーストにはチーズやアンチョビなど、こだわりの食材を配合して作りあげました。

 

── パクチーペーストには、チーズなしバージョンもありますね。

 

立川さん:パクチーが苦手な人を意識して開発したチーズ入りペーストですが、よく考えてみたら、パクチーが苦手な人はそもそもパクチー商品を手に取らないんですよね(笑)。そこに気づいてパクチー好きの人向けに振り切った、パクチーの風味をしっかり感じられるチーズなしのペーストを開発。売上げはさらに伸びました。

 

パクチーペースト
パクチー加工品として最初に開発したパクチーペースト

── パッケージもおしゃれでかわいいです!

 

立川さん:「そうだ、パクチー好きのあの人の誕生日に、プレゼントとして買ってあげよう」と思えるような、ギフト需要にも対応できるパッケージデザインにしました。ラベルには自分の笑顔を手描きイラストにしてあしらい、ロゴのデザインや配置にも気を配りました。

 

その後もパクチーを使ったさまざまな加工品を開発・販売していますが、商品それぞれの世界観を思い浮かべながら、パッケージデザインを作り込みました。たとえば、人気の冷凍パクチー餃子はパクチーシスターズのキャラクターに中華帽をかぶせて、のれんの向こうに餃子が見える、というワクワク感のあるデザインにしました。仕事に疲れた人が食欲をかきたてられ、思わず手に取りたくなるよう狙ったのです。