「なるべく早くご両親に…」わかってはいるけど

── 透析は基本的に一生継続する治療ですからね…。

 

クボケンさん:はい。透析にも種類があって「血液透析」は病院に週3日、4、5時間かけて血液を入れ替えなければならないし、「腹膜透析」なら自宅で毎日、自分で透析をする必要がある。悩んだ僕に、先生が告げたもうひとつの選択肢が「腎移植」でした。医師から「このまま何もせずにいると、3年で死にます」と言われたんです。

 

さらに手術の説明とともにリスクを聞くと、手術中に医療器具が神経にあたり、足が動かなくなった人もいると聞いて。

 

── 腎移植は腎臓の機能が低下した人が、健康な腎臓を持つ人から、2つある腎臓の1つを移植してもらう治療法です。ドナー提供者としてまずは家族が候補になる可能性が高いかと思いますが、医師からはどんな提案がされましたか。

 

クボケンさん:「まずはご両親に相談してください。できれば次回の診察までに」と、すぐに移植外科の予約が決まりました。診察の日にちが決まったのだから両親に話をしなくてはいけない…。それでも僕は群馬に住む両親にすぐ伝えられずにいて。

 

実は、僕の父は僕が芸人を目指すことに反対で、地元に残って公務員になってほしいと願っていたんですね。それでも僕は、父の反対を押し切って上京し、芸人になったんです。しかも芸事だけでまだ生活ができない時期は仕送りをしてもらって経済的に迷惑をかけてきたのに、今度は腎移植の相談もして、ここまで迷惑をかけるのかって。

 

「言わなきゃいけないけど、どうしても言えない」。そんな数日を過ごしながら仕事帰りの電車では涙が出てきてしまって。それを人に見られるのが嫌で、最寄り駅から2、3駅手前で降りて、泣きながら家まで歩いて帰ることもありました。

 

── ご両親に相談する前に当時、同棲中だった今の奥さんに病状を伝えたそうですね。

 

クボケンさん:以前から痛風や腎臓が悪いことは伝えていましたが、移植や透析の話が出るほど深刻な事態になっていることは伝えていなかったんです。でも、いよいよ隠しきれなくなって恐る恐る打ち明けたら、「なんでもっと早く言ってくれないの!近くにいたんだから、私がもっと協力できることがあったかもしれないのに」と彼女が自分を責め始めちゃって。

 

「いや、俺こそ早く言わなくてごめん」と謝って、その夜は2人で大号泣しました。今まで隠していた申し訳なさと、そこまで真剣に僕の体のことを考えてくれるんだ、と感謝の気持ちがありました。