就活で発達障害をカミングアウトすると
── 法律の勉強はいかがでしたか?
拓人さん:単位を取るのも苦労しました。でも、母の友人に勉強を教えてもらい、コツがわかってからは自分ひとりでも勉強をするようになり、単位もすべて修得できました。発達障害があれば大学の支援(ノートテイクや試験時間延長、別室受験、専門の相談窓口による学習・就職サポートなど)を得られる可能性もありましたが、当時の私はまず自力でやってみたいという気持ちが強くありました。
── 順調に卒業に向かったのですね。就職活動はどんなふうに進めたのですか?
拓人さん:ふだんは友達がいなくても困らなかったのですが、就活の情報収集やスケジュール管理には苦労しました。というのも、就職活動の詳細が伝えられる大学主催の重要なオリエンテーションの日を忘れていて、就職活動をいつどのように始め、進めればよいのか、まったくわからなくなったんです。
結局、すべて自力で調べてやらないといけない状況になりました。友達がいたら、周りの動きや「今日、大切なオリエンテーションあるよ」「エントリーした?」などの会話により、このオリエンテーションを含め、重要なイベントやタイミングに気づけたのではないか、と後から思います。
発達障害ではありましたが、障害者手帳は申請してないので、障害者雇用枠ではなく一般雇用枠で就職活動を行いました。もともと堀内家の子ども4人は全員、障害者手帳を持っていません。子ども時代については、母が「まずは本人たちの意思を尊重し、必要に応じて環境を選んでいく」という考えだったからです。
自分に限ると、昔から私は「逃げグセ」があり、苦手なことから距離を置きがちなところがあったんです。この状況を打破するためにも就職活動時の私は、まずは一般雇用の中でどこまでやれるか挑戦してみたいという気持ちが強くありました。そのため、障害者手帳は申請しませんでした。
── スタート時点から苦労されたんですね。就活ではどんな業界を受けたのですか?
拓人さん:とくにやりたいことが明確にあったわけではなく、自分にできそうなことを探す姿勢で臨みました。障害のある方と関わるアルバイトを4年間経験していたこともあり、福祉分野に関心があったため、介護業界を中心に受けました。就職活動ではインターンシップにいくつか参加しました。でも、面接に進んで話が弾んでも、最後に自分に発達障害があると告げると、今でも覚えているくらい、サーッと空気が冷え、相手の反応が変わったように感じました。結果として、カミングアウトした会社は例外なく次の選考に進めず、すべて落ちました。
じつは、就職活動で発達障害についてどこまで伝えるかを、企業での採用経験がある父に相談していたんです。「自分なら正直なやつを採る」という父の助言を受け、私も伝えるのが誠実な対応だと思っていました。
ただ、今振り返ると、発達障害を伝えたことだけが結果に影響したとは思っていません。当時の自分は、自分の魅力や働くうえでのイメージを十分に企業に伝えきれなかった部分もありました。また、発達障害という言葉だけでは、実際に働く姿が見えにくく、企業側が慎重になるのも理解できます。悩んだ末、途中からは自分から発達障害について伝えずに選考を受けるようにしたところ、最終的に介護施設2社から内定をいただき、自分でも驚きました。