変化の早い芸能界で、産休・育休をとると「自分の席がなくなるのでは?」と不安を抱えていた菊地亜美さん。比較的早い仕事復帰になりましたが、それはある決断を下してのことでした。サポート体制が整っていても、出産した人にしかわからない心身の不調もあります。日々、出産前にはなかった自分と向き合っています。

出産直前に仕事の席を失う不安は消えた

── アイドルグループ「アイドリング!!!」卒業後、バラエティ番組や化粧品プロデュースで活躍する菊地亜美さん。2018年に5歳年上の一般男性と結婚後、2020年に長女、2025年に次女を出産されました。産前産後に仕事を休むにあたっては、変化の速い芸能界で、自分が築いてきたポジションが奪われるのではないか、といった不安は感じませんでしたか?

 

菊地さん:バラエティ番組などの仕事がたくさんある時期に妊娠したことがわかり、出産前は「現場を離れている間に私の席がなくなるのでは」と、めちゃくちゃ考えました。でも、もともと子どもが好きでしたし、つらい流産の経験を経て子どもを授かったため、出産直前には「もう、これは私の決めた道」と、腹を括ることができました。

 

ただ、自分が望んだこととはいえ、私が休んでいる間も、何も変わらないようにレギュラー番組が進行する様子を見て、「自分だけ世の中から取り残されているかも」と、疎外感を覚えたのも事実です。働いていた女性が、「産前・産後に休んでいる間、社会から切り離されたような孤独を感じた」と語ることがありますが、同じようにどこか割り切れない感情も少しはあったと思います。

 

第1子の妊娠期間はコロナ禍のピークと重なったこともあり、オンラインでの仕事以外、依頼はほとんどゼロに。そのため、予定より早めに産休に入ったような感覚でした。産後も心身の不安もあり、いつ復帰できるかわからなかったので、仕事の予定は真っ白でした。

 

産後、テレビ復帰した際は、自分のキャラを考えて「席がなくなると困るので早めに復帰しました」と冗談交じりに言いましたが、あれは本心ではありません。子育て中心の生活を選んで仕事に戻るなかで、「たとえ仕事がなくなってもしかたない」といい意味で覚悟ができていましたし、できる仕事は全力で頑張るつもりでした。結果的には、産後に仕事の依頼が一気に増えて驚きました。

 

菊地亜美
次女出産前、友人たちが企画してくれたサプライズのベビーシャワー

── お休み中、赤ちゃんと向き合う生活はいかがでしたか?

 

菊地さん:仕事がお休みとはいえ、生まれてきた赤ちゃんの育児は次から次にやることがあって、忙しい毎日でした。でも、赤ちゃんと向き合うなかで「子どもに合わせてゆっくり子育てがしたい」という、今までにない気持ちが沸きあがるのを感じて。自分の感情を含めて、すべてが新鮮でした。

 

── 第1子と第2子では、気持ちに変化はありましたか?

 

菊地さん:第1子の妊娠中にお腹の子どもや自分と向き合えたこともあり、第2子の出産・復帰についてはもう少し気持ちの余裕が持てました。1人目の出産経験から多くの気づきを得られたので、2人目のときは「子育てしながらでもゆるくなら仕事復帰もできるだろう」と、仕事と育児のバランスに自分なりの見通しが持てたんです。

 

妊娠・出産などの経験を通して、自分のなかで湧き上がる初めての感情を受け止めながら、人生の優先順位を明確にできたことが、私にとってはよかったと思います。